新型コロナウイルスについてさまざまなことがわかってきた。現時点の情報で考える限り、新型コロナウイルスの感染拡大は、そう簡単には終息しそうになく、「ウィズコロナ」の状態が長く続きそうである。政府はもとより、企業や個人も「ウィズコロナ時代」を前提に、将来の対応を考えるべきである。そこで、産業医としてのアドバイスも交えて解説する。(中央大学大学院戦略経営研究科教授、多摩大学大学院特任教授、医師 真野俊樹)
新型コロナウイルスは変異する
医学的に細かい話を抜きにすれば、ウイルスは、DNAウイルスとRNAウイルスの2つに大別される。
新型コロナウイルスの場合、後者のRNAウイルスである。これは何を意味するのであろうか。
同じように、RNAウイルスであるインフルエンザウイルスで考えてみよう。
インフルエンザウイルスは自分の力では増殖することができず、感染した細胞の中で自分の遺伝子のコピーを多数作り増殖する。その結果、インフルエンザウイルスに感染したほとんどの細胞は死滅し、そこから多数のウイルスが広がる。
また、インフルエンザウイルスの遺伝子はRNAで、このRNAは誤ったコピーが発生しやすい。つまり、変異が起きやすい。
一度、インフルエンザにかかったのに、再感染があるのは、このように変異したインフルエ ンザウイルスに感染しているからである。つまり、対応する抗体ができにくいことになる。
新型コロナウイルスでは、どうだろうか。