ドナルド・トランプ米大統領が最高裁判事にエイミー・コニー・バレット氏を指名したことは、トランプ大統領の大きな成果であり、米司法制度にとっては重大な転換点といえるだろう。バレット判事の経歴と知性は、トランプ氏が指名し、米国の法律と米国民の生活に中核的な憲法原則を復活させようとしてきた他の判事にバレット判事が加わる可能性を示唆している。最高裁判事一人が背負う責務としては無理難題に聞こえるかもしれないが、これはバレット判事の仕事に限ったことではない。バレット判事は、トランプ氏と上院共和党が連邦判事へと押し上げてきた新世代の始原主義(起草者の意図に基づいて憲法を解釈する考え方)の判事に属する。その数――最高裁判事3人と控訴裁判事53人――も決定的に重要だが、さらに重要なのはそうした判事たちがどのように憲法にアプローチするかだ。まれに例外はあるものの、第3の政策決定者としてではなく、正しい憲法秩序の擁護者として自身を捉えている。