そうした状況を反映して、今後、若年層を中心に文氏への批判は増えるだろう。その場合、文氏は自らへの批判をかわすため反日の姿勢を強めるはずだ。日韓関係はこれまで以上に冷え込む可能性がある。

 政府は、感情を排した冷静かつ毅然とした姿勢で文政権に対応すればよい。それに加えて、わが国は日韓議員連盟での議論などを通して、韓国側に現実的な解決策の模索と実行を求め続けるべきだ。11月から韓国サイドは、わが国の議員連盟との交渉に臨む意向を示している。わが国はそうした取り組みを進めつつ、韓国世論の対日心理に変化の兆しが表れるのを待つべきだ。その上で、韓国が自主的に歴史問題に対応し、解決する環境の整備を目指せばよい。時間と根気のいる仕事ではあるが、わが国が自国の利害を韓国から守る姿勢を貫くことが重要だ。

 わが国が韓国に対して何らかの譲歩や配慮を示せば、韓国世論は対日強硬姿勢の成功体験を強くするだろう。わが国が国家間の合意に則った対応を韓国に求めることは一段と難しくなる。それだけでなく、国際世論の賛同を取り付けることも難しくなる。韓国への譲歩は将来に禍根を残すことになるはずだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)