「冬だけ生活保護」という
北海道のサバイバルスタイル
9月下旬から、全国で気温が下がり始め、冬へと向かう気配が色濃くなっている。全国に先駆けて冬が訪れる北海道では、本稿を執筆している2020年10月8日現在、173カ所の計測点のうち161カ所で最低気温が10℃未満となった。このうち38カ所は最低気温が5℃未満、最も低かった「ぬかびら温泉郷」は1.2℃であった。
関東南部では12月から2月にかけての最も寒い時期に見られる気温が、北海道には10月に現れる。もちろん北海道は、これから寒さと積雪のピークへと向かう。最高気温は氷点下、最低気温はマイナス10℃以下という時期が、数カ月にわたって続く。
しかし、北海道でコロナ禍の打撃を受けた人々には、北海道ならではの公的制度の蓄積がある。その一例は、「冬だけ生活保護」というスタイルだ。冬になると、暖房費・防寒衣料などの出費がかさみ、夏よりも生活が厳しくなる。資産が少なく、夏の所得が生活保護基準よりも若干高い世帯の場合、冬になると生活保護以下の生活となる可能性がある。このため北海道には、「冬だけ生活保護で生き延びる」というスタイルが存在する。
たとえば札幌市の場合、月ごとの生活保護世帯数は、6月または7月に年度内で最少となり、3月に年度内最多となることが多い。普段から生活が苦しい世帯でも、生活保護の助けがあれば厳しい冬を乗り越えられる。しかも生活保護世帯数は、秋から翌年3月に向けて微増している。春から秋にかけての貯金等で冬に備えているものの、持ちこたえられなくなる世帯が徐々に増えていき、3月にピークに達する様子がよく分かる。