自治体の判断に左右される
「冬だけ生活保護」

「冬だけ生活保護」というスタイルは、「北海道のどこでも可能」というわけではない。生活保護を申請すると、利用資格が審査される。この審査に“合格”し、「何もかもを失っており、利用できるものがなく、充分に貧困である」と認められれば、生活保護の対象となることができる。

 生活や通勤の足である自動車の保有や運転は認められない。生命保険も解約する必要がある。3親等内の親族に対する扶養照会もある。これらの審査の必要性と内容は、法律と厚労省が定めている。しかし、冬が来るたびに自動車を売却したり、生命保険を解約したり、親族が扶養照会をされて「仕送りできませんか」と訊ねられたりするのでは、「春まで生活保護で生き延びよう」という気にはなれないだろう。

 北海道には独自の判断で、このような審査を緩和している自治体もある。自動車の保有には、もともと6カ月間の猶予期間が設定されている。保険の解約や不動産の売却も、生活保護を申請した時点で終了させておく必要はない。扶養照会も、「相手がDV加害者である場合」をはじめ、行わなくてもよいとされる条件がいくつかある。「冬だけ生活保護」を実現するために必要なのは、自治体の弾力的な運用だけだ。

 このような弾力性が自治体にあれば、春から秋にかけては生活保護を必要としていない人々は、勤務や事業や通学を続けながら、暖房費がかさむ冬季は生活保護を活用し、春から秋とおおむね変わらない生活を営むことができる。まさしく、生活保護の目的の1つである「自立の助長」である。