河野大臣の素晴らしい仕切り

 それはともかく、河野大臣の激怒を受けて文化庁が再検討を行った上で、10月5日(月)に投資WGが再度開催されました。そこで文化庁が提示した方針は、放送事業者が規制改革推進会議に提出した規制改革の要望8項目を基本的に全て実現するというものでした。

 そして、これだけだと私が危惧する放送事業者の“食い逃げ”になりかねなかったのですが、非常に驚いたのは、会議の中で河野大臣が“権利者への利益分配についてもきちんとルールを決める必要がある”と発言したことです。

 というのは、ともすると規制改革に抵抗する人たち(この場合は権利者)は抵抗勢力というレッテルを貼られがちですが、抵抗する側の懸念(この場合は利益分配)を払拭せずに強引に規制改革だけ実施するのは、それこそ“原理主義”という批判がふさわしいくらい、人、政策の進め方として明らかに間違っているからです。

 かつ、抵抗する側を説得するための手段として、政府が損失を補填するための補助金を用意する場合がよくありますが(農業自由化の際の補助金がその典型例)、本来、規制改革により新たに生まれた利益をどう分配するかは、可能な限り民・民の交渉に委ねて市場で解決すべき問題です。

 そのように考えると、河野大臣が放送番組のネット配信の容易化に向けた規制改革を強引に進めつつ、同時に、規制改革のしわ寄せを受ける権利者にも目配せして、それによって生じる新たな利益の分配についてもルールを定めるべきだと指示したことは、規制改革の進め方としては理想的と言っても過言ではないのです。

 菅政権のまさに最初の規制改革に関して、河野大臣がこのようにバランスの良い仕切りをしたということは、今後の改革も正しい方向とアプローチで進むと期待できるのではないでしょうか。菅政権の改革にとっては非常に良い兆候ではないかと思います。