不買は上海市民に響かず
日系店舗・商品はいつもながら

 総領事館の周囲には日本人向けサービスを業とする店舗が多く集まるが、その「日本語看板」はほとんどがブルーシートを貼ったりするなどして覆い隠され、また営業を一時停止するところもあった。しかし、暴徒の出現は杞憂に過ぎなかったようだ。

日本製品不買運動のビラに見入る上海市民たち
Photo by Konatsu Himeda

 あれほどデモ隊が声高に叫び、ビラまでまいた日本製品の不買運動、当然、その影響は皆無とはいえないが、一般消費の面では「いつもどおり」が散見された。ファミリーマートは中国国旗を窓に貼り付け防御態勢に出たものの、デモ当日の昼休みはいつものようにホワイトカラーが押しかけていた。

 その2日前の日曜日、9月16日も反日デモが行われていたが、現場近くの繁華街では、回転寿司店には長蛇の列ができ、日本資本のカレーチェーン店も満席、牛丼店も消費者で賑わっていた。カルフールの家電売り場では「松下ブランド」の299元の掃除機が積み上がっていた。販売員は「毎日出せば売れる魅力的な商品に不買は関係ない」と話す。

 最近は、一体どれが「純粋な日本製品」なのかがはっきりしない。前述した回転寿司は日本の食文化だが、実は台湾資本による経営である。日本料理店もサウナも「日式」と名の付く業態のほとんどが経営者は中国人だ。多くの日本の家電メーカーは、中国資本との合弁という形で経営されている。トヨタやホンダが1台あたり3万点におよぶ自動車部品の現地調達率を高める昨今は、それによって恩恵を受けている中国企業を数えるだけでも大変だろう。

「不買のスローガンは、1930~40年代、日本が中国を侵略した時期に使われたものであり、現代社会においてこれを叫ぶことは現実的でない」と、日本ブランドに対するボイコットはナンセンスだとする中国の専門家もいる。