とはいえ、規模の小さな自治体ですら「縦割り行政」である現状では、組織間の横断的な議論を行うには“かなりの体力”を要する。 

コロナ禍で近助タクシー内部には感染予防策を講じているコロナ禍で近助タクシー内部には感染予防策を講じている Photo by K.M.

そうした議論を進めていると、「結局は福祉の事案」という流れになることが多い。

 地方都市や中山間地域は、クルマ(乗用車)社会である。例えるならば、自宅から100メートル先のコンビニまでクルマで行くような感じだ。

 自ら乗用車を運転しない、または運転できる家族と同居していない、という状況は、多くの場合、高齢者が主体となり、結果的に福祉の対象に近くなる。自治体として議論を取りまとめていくために、さらなる体力が必要となる。

その3:
継続性の難しさ

 近助タクシーのドライバーは、国土交通大臣認定講習を受講した第一種免許所持者で、年齢は60~70代の男性13人。

「ちょっと元気なお年寄り」と、実施地域である志比北地区振興連絡協議会・会長の川崎直文氏は表現する。

 これは、自家用有償旅客運送を運用している全国各地でも同じような状況だ。

 その上で、次の世代の「ちょっと元気なお年寄り」への引き継ぎがうまくいかず、利用数が減ったり、また地域住民のやる気が下がってしまう例が全国各地にある。

 引き継ぎは決して義務ではないし、また自治体が主導して行うべきことでもないと思う。

「やりながら、よい方向に進むよう自分たちで考えていく」(川崎協議会会長)という言葉のように、地域住民の皆さんの「自助・共助・公助」に対する自然な気持ちを大切にするべき。これを自治体がどうサイドサポートできるかが、自家用有償旅客運送を継続する上でのカギとなるが、それがとても難しい。

近助タクシーの2019年出発式近助タクシーの2019年出発式 写真提供:永平寺町

 まだまだ多くの課題を抱えながら始まった、近助タクシー。

 住民と役場の皆が当事者意識を持ち、常に現実解を探しながら、一歩一歩前に進むことになる。

(ジャーナリスト 桃田健史)