ピッチの外での感染予防・対策
チームの一体感をどう作るか

 ピッチ内とは試合のことだとわかるが、外とは何か。答えは今回の活動を通して、日本代表チーム関係者から感染者を出さないことに集約される。徹底した感染予防対策のもとで、今回はホテルから練習場、ホテルから試合会場の間の往復だけに移動が限定されている。

 しかも、バスの中がいわゆる密になりやすいという観点から、練習場まで徒歩で移動できるホテルを選択。ホテルも外部と接触できないように一棟そのものを借り上げ、オランダの人々があまりマスクをしていない状況下で、ホテル従業員には選手やスタッフと同様にマスク着用を要望している。

 フル代表は遠征時に一人部屋があてがわれるが、今回は食事、ミーティング、オンラインによるメディア対応、ドクターの治療やトレーナーによるケア以外は自室で待機。食事も円卓を囲んでさまざまなコミュニケーションを取る形式から、間隔を取った上でテーブルに着く形に改められた。

 朝食前の検温だけでなく、3度の食事前を含めて、全員に手渡されている携帯用アルコールスプレーで手指を消毒することが義務づけられた。空いている時間に選手たちが集まり、コーヒーなどを飲みながらコミュニケーションを深める、いわゆるリラクゼーションルームの設置も見送られた。

 さまざまな制限が設けられた中で、それでも選手たちは今年初めて顔を合わせる仲間たちと、可能な限りコミュニケーションを深める努力も積み重ねている。吉田が笑顔で明かしてくれた。

「もちろんソーシャルディスタンスを保ちながらですけど、大きな食事会場の中でみんな楽しそうに話していますね。僕自身も久しぶりに会った選手、初めて会った選手といろいろな話をしたいし、いろいろなことに気がつきたい。なので、さまざまなトークのテーマを常に考えています」

 吉田の話を補足すれば、食事会場の広さは300平米ほどあり、天井も非常に高い。通気性が高く、お互いに十分な距離を取れる会場があるホテルがファーストプライオリティーとして選ばれ、食事を終えた選手たちがマスクを再び着けた上で、つかの間のサッカー談義に花を咲かせている。

 ピッチ外での意識を高めた上で、選手たちはピッチ内の結果も求めていく。地上波で生中継される日本で、ファンやサポーターが今回の2試合を注目していると感じるからこそ、招集メンバーの中では最年少となる19歳のMF久保建英(ビジャレアル)は合流初日にこんな言葉を残していた。

「例えば自分が今、10歳の子どもだとしたら、サッカー選手になる夢が一歩遠のいてしまうような感覚を持っていたと思う。外に出られないとか、そういう状況でもサッカー選手になりたいと子どもたちに思ってもらえることが、自分にとっては一番大事なことなので。そういうものを自分たちが払拭するというか、サッカーとは非常に素晴らしいスポーツだ、ということを見せていきたい」

 それぞれの所属先に戻った後も感染者ゼロを継続させた上で、今年初勝利を手にして、なおかつサッカーが持つ楽しさを介して未来への可能性をも紡いでいく。大迫が離脱したことで総勢22人になった代表選手たちは、選ばれた者だけが感じるさまざまな使命や覚悟をも背負いながら、日本時間13日の午後11時45分にキックオフを迎えるコートジボワール戦を待っている。