日本学術会議Photo:JIJI

学術会議の委員の任命について論争が相次いでいる。筆者は当該の委員の先生方と直接面識もないし研究分野をよく知っているわけではないので、このことの是非についてはよくわからない。しかしもともと、医師で医学博士を取得し、その後経済学博士を取得し、現在、文系の大学院で教える人間として、少し考えるところもあり下記に記してみたい。(中央大学大学院戦略経営研究科教授、多摩大学大学院特任教授、名古屋大学未来社会創造機構客員教授、医師 真野俊樹)

学術会議の論争で
話題の委員候補はすべて文系

 先ほど述べたように、筆者は文系と理系の両分野に博士の学位があり、限られた範囲ではあるが、ある程度の造詣があると考えている。その視点でみると今回の話題になっている委員候補が、すべて文化系の学者である所は非常に興味深い。

 ここからは、筆者の意見が中心なので、気分を害される方もおられるかもしれないがご容赦いただきたい。非常に単純に言えば、理科系は何らかの理論を生み出したり、あるいはその理論を応用するといったところに力点が置かれる傾向がある。もちろん文化系も理論はあるし応用もあるのだが、最も理科系的な学問といわれる経済学でも、さまざまな学説がみられるように、理科系の物理学のようにクリアカットに白黒を出しにくい。