バフェット銘柄を単に買うだけでは失敗する理由
ただ単にバフェットと同じ銘柄を買っても、あるいは事前に予想して買っても、買っただけでは、その株に魂が入らない。その株を持った人の考え方が非常に大事なのだ。なぜかというと、「買ってからすぐ下がってしまったから、怖くなって売ってしまった」「少しの利益で売った」というようなことが、当たり前のこととしてあるからだ。
まさに同じ株を買っても、その株に対してどう眺めるかによって、まったく違った結果になる。バフェットが買って32年持つコカ・コーラは17倍に、12年持つ中国の電気自動車メーカーBYDも17倍に、2016年に買ったアップルはすでに3倍以上に値上がりした。これらを1~2割の利益で売ってしまえば、投資の風景は全く異なる。
そこで、バフェットの投資への臨み方、またどのような企業に投資するのかについて見てみよう。
まずは、バフェットの投資への臨み方である。
1. 10年持つつもりがなければ10秒も持つな。
2.他の人が貪欲なときに恐れ、他の人が恐れているときに貪欲になれ。
3.野球は3ストライクで三振だが、我々はホームランを打つため、いつまででも待てる。
4.自分の土俵のなかで試合をしろ。
5.スコアボードを見て試合をするな。フィールドを見て試合をしろ。
6.ルール1:損をするな。 ルール2:ルール1を絶対に守れ。
少し解説を加えよう。番号順に説明する。
1.バフェット真髄の長期投資である。1ヵ月単位の目先か10年は持つつもりかで、選ぶ銘柄が変わってくることは想像に難くない。この違いは、値動きに目を向けるか、会社の中身に目を向けるかという根本的な違いともなる。
2.この言葉は、バフェットの数ある名言の中でも出色の言葉だ。人が熱狂しているような上昇相場の時に恐れて引いていて、リーマンショックやコロナショックで多くの人が大きな打撃を受けているようなときに、買い向かえということである。
(Be fearful when others are greedy, be greedy when others are fearful.)
3.お金があるから、何か買っておこうというようなスタンスではなく、必ず当たるようなチャンスをじっと待てということである。一言で「忍耐」。バフェットは、これが投資の成功で大事という。
4.コメンテーターや有名な投資家が「この銘柄はいい」というから買う、あるいはどんどん上がっているから買うというような買い方は避けるべきだという。会社の中身をよく理解しないで投資するなということである。自分が理解できる範囲(領分)をわきまえて、その外には行くなということである。その外に行けば失敗するという。(Play within the circle of competence.)
5.この言葉は株式投資の根本を表現している。スコアボードは株価、フィールドは会社である。
株価の変動で利益を得ようとするな。会社の中身をよく吟味して成果を得るようにしろということである。
6.この言葉をみるたびに、バフェットの顔が浮かぶが、まさにこの通り。マイナスがなければ、あとはプラスばかりである。要は、まずは守りを固めろということ、あるいは下がってもまた戻ってくるような銘柄を選べということだろう。
いかがだろうか。ここまでバフェットの投資への臨み方を駆け足で見てきたが、バフェットは60年以上にわたり、こうやることによって1000億ドルの資産を築いたのである。
次は、バフェットがどういう企業に投資するかについて取り上げてみよう。