販促費をかけない

 3つ目は、販促費をかけないことだ。

 そもそもアマゾンは知名度が抜群で販促費がいらない。

真正面から戦うときには販促費を使うと最初から不利なのだ。

 そこでアンバサダーマーケティングの仕掛けをつくる。

 前述したようにアンバサダーが無償で製品紹介をブログやYouTubeでやってくれる。

 私たちはアンバサダーの活動そのものを店頭やネットで紹介する。最近のユーザーはネットでの評判を見てから買うので重要だ。これがアマゾンに負けない方法の本命だ。

 ここでは、「しない経営」について述べてきた。

社員のストレスになること、自社の強みではないこと、価値を生まない無駄なことは徹底的に排除している。

特に相手のストレスになることを「しない」は重要だ。

「しない」とは、相手の立場で考えると「されない」ということだ。

 無駄な仕事を与えられない、できないことをさせられない、無用な干渉をされないことで、自分の時間を有効に使え、自分の頭で考え、行動できる。その結果、楽しみながら、仕事の結果を出すことができるのだ。

土屋哲雄(つちや・てつお)
株式会社ワークマン専務取締役
1952年生まれ。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社。プロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「エクセル経営」を持ち込んで社内改革。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞、会社として「2019年度ポーター賞」を受賞。2012年、ワークマン常務取締役。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。「ダイヤモンド経営塾」第八期講師。これまで明かされてこなかった「しない経営」と「エクセル経営」の両輪によりブルーオーシャン市場を頑張らずに切り拓く秘密を本書で初めて公開。本書が初の著書。