地方議員は、ビジネスパーソンにとって良いセカンドキャリアの選択肢だと提起する書籍が登場する。「選挙マーケティングの解説」という、地方議員になるための方法論付きだ。なぜ地方議員がおすすめなのか。そして、選挙で必要とされる地盤(組織力)・看板(知名度)・カバン(資金力)という、いわゆる「3バン」がない私たちでも本当に政治家になれるのか。キャリアと選挙とマーケティングの組み合わせが興味深いので取り上げたい。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
ビジネスパーソンは地方議員を目指せ
「選挙マーケティング」の理論と方法
市議会議員や県議会議員のような地方議員は、ビジネスパーソンにとって良いセカンドキャリアの選択肢だと提起する書籍が登場する(10月27日ごろの発売となる予定)。地方議員になるための懇切丁寧な方法論付きだ。鈴木たつお・新倉貴士著『ビジネスマンよ議員をめざせ! —セカンドキャリアのすすめ— 』(日本地域社会研究所)は、地方議員のリアルな活動と、選挙の戦い方が詳しく分かる、これまでに見かけたことのない本だ。
著者であり、この本の「主人公」とも言うべき鈴木たつお氏は、東京都・東村山市の市議会議員だ。2019年の統一地方選挙で初当選した。当選時には49歳、現在51歳の、同市市議会(平均年齢約60歳)の中では「若手」だ。
共著者の新倉貴士氏は、法政大学大学院経営学研究科の教授である。鈴木氏は、市議会議員になる前に都議会議員選挙に挑戦して苦杯をなめ、法政大学大学院で新倉教授の指導を受けた。研究テーマは、選挙マーケティングだ。この本は、選挙を題材にしたマーケティングの解説書でもある。選挙とマーケティングは、多くのビジネスパーソンの直感が賛成する組み合わせだろう。
なお、筆者は鈴木市議の政策や政党を推しているわけではないし、本書に政策的主張は書かれていない。政治家の著作に一切政治的主張がないのは珍しい。純粋にキャリアと選挙とマーケティングという組み合わせが興味深いので取り上げた。