ジョー・バイデン前副大統領は、通常なら企業を不安に陥らせる政策を掲げて米大統領選を戦っている。法人や投資家への課税強化、化石燃料からの移行を促す積極的措置、労働組合の強化、医療保険における政府の役割拡大などだ。だが多くの企業幹部やその周辺はバイデン大統領が誕生する見込みを、相反する感情を抱きつつ、もしくは安堵(あんど)感と共に受け入れている。その理由はバイデン氏がどのような人物かではなく、同氏以外の候補ではないことにある。つまり、民主党予備選において企業にはるかに敵対的な政策を掲げて同氏に敗れたエリザベス・ウォーレン、バーニー・サンダース両上院議員や、経済政策の予測不能さが際立っているドナルド・トランプ米大統領に比べれば良いと思えるからだ。