写真はイメージです Photo:SOPA Images /gettyimages

10月16日から、劇場版『鬼滅の刃』が公開となる。原作漫画は、今月ついに累計発行1億部を突破。これは『ONE PIECE』の記録を抜く史上最速でのことだ。なぜ、ここまでのヒットとなったのか。長年にわたり少年ジャンプを愛読してきたライターが分析する。(フリーライター 武藤弘樹)

『ONE PIECE』の記録も塗り替えるお化けヒット

 少年ジャンプで連載されていた『鬼滅の刃』が、10月発売の第22巻で電子書籍版を含む累計発行部数がついに1億の大台に乗った。1億部ともなると、もはや国民的マンガといってよく、この数字を達成したジャンプ作品は他に『DRAGON BALL』『SLAM DUNK』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』などが挙げられる。
 
 調べてみると、新刊が出るたびにコンビニで平積みになる『ONE PIECE』は、第36巻発売時に史上最速で1億部突破を達成。押しも押されもせぬ不動の国民的マンガである同作品だが、『鬼滅の刃』が、この最速1億部突破の記録を大幅に塗り替えることとなった。

 何しろこの1年で約9000万部も数字を伸ばしたほどで、この勢いのすごさについては確実にマンガの歴史に刻まれるであろう。
 
 それだけ時流に乗ってきた『鬼滅の刃』であるから、一時は社会現象になって、その面白さについて至る所で取り上げられていた。同作品に関する解説はそれで一巡した印象もあるが、かれこれ約30年にわたって週刊少年ジャンプを購読してきたアラフォー筆者が、1億部突破のこの機に、改めて『鬼滅の刃』の面白さについて触れてみたい。

打ち切りのにおいも感じた独特な絵柄

 「30年間購読を続けてきた」と書き、冷静になって我ながら自分に引く思いであるがそれはさておき、30年もの間ジャンプの読者であったとなれば、それはもはや集英社の犬である。小学館、講談社、ほか出版社のマンガも広く読んできてはいたが、やはりジャンプ作品に対する思い入れは強い。連載されている作品に対しては応援の気持ちを同様に抱いているが、『鬼滅の刃』は問答無用で好きな、特に楽しみにしている作品のうちの一つであった。
 
 週刊少年ジャンプには、げに恐ろしい“打ち切りシステム”というものがある。内情に詳しいわけではないが、読者アンケートなどの人気が振るわないと連載が強制的に打ち切られるという。早いと単行本1巻分の約10話くらいで打ち切りとなり、そうなる作品が結構多いので、新連載が始まった作品はここが第一の壁となる。
 
 30年も犬をやっていると、1話目を読めば第一の壁を越えられるか否かがにおいでわかるようになってくる。『鬼滅の刃』のそのにおいはというと、かなり危うい印象であった。絵が独特なのである。