新着
業界
製造業 銀行・証券・金融
保険 建設・不動産
コンサル・士業 商社
運輸・物流 IT・通信
AI・テクノロジー エネルギー
医療・製薬 食品・農業
小売・外食 サービス・エンタメ
メディア・広告 スタートアップ・新規事業
教育 財閥・学閥
予測・分析
学び
経営・戦略 マネジメント
ビジネス課題 ビジネススキル
営業・マーケティング マネー・投資
相続・節税 年金
キャリア・働き方 受験・子育て
教養
特集 書籍
ログイン会員登録

生物の謎は「何パーセント」明らかになったのか?

【出口治明×更科功】「若い読者に贈る美しい生物学講義」対談(第3回)
更科功
社会若い読者に贈る美しい生物学講義
2020年11月1日 4:00
記事をクリップ
URLをコピー
記事を印刷
Xでシェア
Facebookでシェア
はてなブックマークでシェア
LINEでシェア
noteでシェア
有料会員限定機能です
詳細はこちら

【出版社からのお知らせ】


哲学と宗教全史

生物の謎は「何パーセント」明らかになったのか?出口治明:著
価格:本体2400円+税
発行年月:2019年8月8日
判型/造本:A5上製、468ページ
ISBN:978-4-478-10187-2

なぜ、今、「哲学と宗教」を
同時に学ぶ必要があるのか?
現代の知の巨人・出口治明が語る

脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏絶賛!宮部みゆき氏推薦!某有名書店員が激賞する『哲学と宗教全史』。世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した現代の知の巨人が古代ギリシャから現代まで3000年の本物の教養を、100点以上の哲学者・宗教家の肖像を用いて初めて体系的に語る。

 

 

 

 

 

 

ご購入はこちらから!→[Amazon.co.jp][紀伊國屋書店BookWeb][楽天ブックス]


くつろいで受けられる生物学講義――著者より

 ある農家に怠け者の男がいた。男は働くのが面倒でたまらないので、自分の代わりに田畑で働いてくれるロボットを作った。

 ところが、ひと月経つと、ロボットは壊れてしまった。仕方なく、男はまたロボットを作った。ところが、そのロボットも、ひと月経つと壊れてしまった。

 そこで男は、新型のロボットを作った。新型のロボットは、田畑で働くだけでなく、ひと月経つと新しいロボットを作って、それから壊れた。だから、男は、一日中家で寝ていられた。

 そんな折、男は作られるロボットが、少しずつ違うことに気がついた。

 たとえば、性能が1のロボットが作ったロボットの性能は、1.1になることも0.9になることもあった。しかしロボットの性能が、急激に変化することはなかった。

 そのうちに、たまたまロボットを2体作るロボットができてしまった。ところが、男の家には、ロボットを動かす燃料は1体分しかない。

 ロボットは、毎日農作業が終わって家に戻ると、燃料タンクから自分で燃料を入れることになっていた。そのため、農作業が早く終わったロボットが、先に家に戻って燃料を入れてしまう。すると、もう1体のロボットは燃料を入れることができない。そのため、燃料切れになったロボットは、家の隅に転がったままになった。

 そんなことが繰り返されていくうちに、ロボットの農作業はものすごく速くなった。生き残るのは、いつも性能が高いロボットだけだからだ。仮に、毎月性能が1.1倍になったとすれば、4年で、ほぼ100倍になる。ロボットは、急速に変化していき、もはや怠け者の男にはコントロールできないものになってしまった。

 ついにロボットは、自分で燃料を採掘するようになり、とうとう地球を支配するにいたった。もはや人間の姿は、どこにも見当たらなかった。

 以上の話は『若い読者に贈る美しい生物学講義』の中に書いた話(の一部)である。ロボットが2体ずつ作られて、そのうちの1体だけが生き残るなら、そのときの状況に適応している方が生き残ることになる。これは自然選択と呼ばれる現象で、ダーウィンが進化のメカニズムとして見つけたものだ。

 この話では、自然選択が働き始めたときに、ロボットの急速な変化が始まった。それは、もう元には戻れないような、根本的な変化であった。この瞬間にロボットは生物になったのだと、私は思う。

 これまでは、生物とはどういうものかを考えるときに、物質的な側面から考えることが多かった。たとえば、地球の生物の体のなかでは、いつも物質やエネルギーが流れている。この流れを代謝というが、これを生物の定義の一つとすることが多い。

 しかし、宇宙にはどんな生物がいるかわからない。たとえば、ロボットの体の中には、いつも物質やエネルギーが流れているわけではない。スイッチを切って寝ていれば、物質もエネルギーも流れない。それでも、宇宙のどこかに、さっきの話のようなロボットがいたら、それは生物と言ってもよいかもしれない。地球の常識から言えば、金属でできたロボットは生物ではないけれど、それは宇宙の常識とは違うのではないだろうか。

 もしも、宇宙全体で生物を定義できるものがあるかどうかわからないが、もしあるとすれば、それは「自然選択」だろう。どんな形をしていようが、どんな物質でできていようが、どんな振る舞いをしようが、とにかく自然選択によって作られたものが生物なのではないだろうか。生物は自然選択によって、周囲の環境に適するようになったものだ。つまり、その環境の中で、なかなか消滅しないようになったものだ。つまり、生き続けるようになったものなのだ。

 だから、本来生物は、生きるために生きているのであって、生きる以上の目的はないのだろう。生きるために大切なことはあっても、生きるよりも大切なことはないのだろう。まあ、生きていれば、それだけで立派なものなのだ。

 『若い読者に贈る美しい生物学講義』では、従来の生物の見方に収まらない話も盛り込んでみた。

 内容を簡単に紹介すると、まず生物とは何かについて考える。その中で、科学とは何かについても考えていく。生物学も科学なので、その限界を理解しておくことが大切だからだ。それから実際の生物、たとえば動物や植物などの話をしてから、生物に共通する性質、たとえば進化や多様性について述べる。最後に身近な話題、たとえばがんやお酒を飲むとどうなるかについて話をする。「講義」という言葉が入っているが、くつろいで受けられる講義にしたつもりである。

 楽しんでもらえると、よいのだけれど。


■新刊書籍のご案内

生物の謎は「何パーセント」明らかになったのか?『若い読者に贈る美しい生物学講義』更科功 著、定価1600円+税

出口治明氏
「ドーキンス『進化とは何か』以来の極上の入門書。」

養老孟司氏
「面白くてためになる。生物学に興味がある人はまず本書を読んだ本がいいと思います。」

竹内薫氏
「めっちゃ面白い! こんな本を高校生の頃に読みたかった! ! 」

山口周氏
「変化の時代、"生き残りの秘訣"は生物から学びましょう。」

佐藤優氏
「人間について深く知るための必読書。」

生命とは、進化とは、遺伝とは、死とは、多様性とは、生き延びるために必要な生存戦略とは――。本書は、読者に向けて、生命とは何かを平易な言葉で伝える、いままででいちばんわかりやすく、いちばん感動的な生物学の本となる。後半の病気に関連した部分は、医学的な解説ではなく、生物としてどのような現象が起こっているのかを解説する。

生物とは何か、生物のシンギュラリティ、動く植物、大きな欠点のある人類の歩き方、遺伝のしくみ、がんは進化する、一気飲みしてはいけない、花粉症はなぜ起きる、IPS細胞とは何か・・・。最新の知見を親切に、ユーモアたっぷりに、ロマンティックに語る。あなたの想像をはるかに超える生物学の授業! 全世代必読の一冊! !

きっと、どんなことにも美しさはある。そして美しさを見つけられれば、そのことに興味を持つようになり、その人が見る世界は前より美しくなるはずだ。きっと生物学だって、(もちろん他の分野だって)美しい学問だ。そして、この本は生物学の本だ。もしも、この本を読んでいるあいだだけでも(できれば読んだあとも)、生物学を美しいと思い、生物学に興味を持ち、そしてあなたの人生がほんの少しでも豊かになれば、それに勝る喜びはない。(本書の「おわりに」より)

若い読者に贈る美しい生物学講義
若い読者に贈る美しい生物学講義
更科 功 著
<内容紹介>

生物とは何か、生物のシンギュラリティ、動く植物、大きな欠点のある人類の歩き方、遺伝のしくみ、がんは進化する、一気飲みしてはいけない、花粉症はなぜ起きる、iPS細胞とは何か…。最新の知見を親切に、ユーモアたっぷりに、ロマンティックに語る。あなたの想像をはるかに超える生物学講義!全世代必読の一冊!!

amazonで購入する 紀伊國屋書店で購入する 書店で購入する
1 2 3
記事をクリップ
URLをコピー
記事を印刷
Xでシェア
Facebookでシェア
はてなブックマークでシェア
LINEでシェア
noteでシェア
関連記事
「宗教」と「哲学」と「サイエンス」に共通している2つのビッグ・クエスチョンとは?
「宗教」と「哲学」と「サイエンス」に共通している2つのビッグ・クエスチョンとは?
更科功
マンガでわかる「生物の特徴を持たない生物」はいるのか?
マンガでわかる「生物の特徴を持たない生物」はいるのか?
更科功
現代の知の巨人が熱く語る「生物学」をいま学ぶべき3つの理由
現代の知の巨人が熱く語る「生物学」をいま学ぶべき3つの理由
更科功
学びの意味、教養の価値はどこにあるのか?
学びの意味、教養の価値はどこにあるのか?
ダイヤモンド社書籍編集局
愛読者クラブ
書籍オンライン 記事ランキング
AIを使って考えるための全技術
普通の人はAIに「知りたいこと」を聞く。では、賢い人だけがAIに聞いている「意外なこと」とは?
リーダーの仮面
40歳で「異動させた方がいい」と思われるダメ会社員の特徴・ワースト3
医者が教えるダイエット 最強の教科書
暑い夏に買いがち「太るドリンク3選」スポドリ、炭酸飲料、あと1つは?
17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。
「同じ大卒だったらFラン大も名門大も関係ないと思います。どうして差をつけるんですか?」。学歴評価が炙り出す本質
仕事ができる人の当たり前
仕事ができない人は、すぐ「すみません」と言う。仕事ができる人は何と言う?
リーダーの仮面
40歳で「異動させた方がいい」と思われるダメ会社員の特徴・ワースト3
仕事ができる人の当たり前
仕事ができない人は、すぐ「すみません」と言う。仕事ができる人は何と言う?
医者が教えるダイエット 最強の教科書
暑い夏に買いがち「太るドリンク3選」スポドリ、炭酸飲料、あと1つは?
大学図鑑!2026 有名大学82校のすべてがわかる!
【理系の最高峰・ついに名称変更】東京科学大学に通う学生に聞いた「本音で一言!」
17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。
「同じ大卒だったらFラン大も名門大も関係ないと思います。どうして差をつけるんですか?」。学歴評価が炙り出す本質
医者が教えるダイエット 最強の教科書
暑い夏に買いがち「太るドリンク3選」スポドリ、炭酸飲料、あと1つは?
リーダーの仮面
40歳で「異動させた方がいい」と思われるダメ会社員の特徴・ワースト3
ぼくは今日も定時で帰る。
毎月80時間残業していたぼくに、会社を辞める決心をさせた上司からのひどい言葉
STOIC人生の教科書ストイシズム
イラッとすることを言われた時、感情的な人は「やり返す」、普通の人は「無視する」。では頭のいい人は?
リーダーの仮面
仕事ができても出世させてはいけない人の特徴・ワースト3
とっぱらう
仕事ができる人の共通点。三流は「毎日少しずつ」、二流は「コツコツ続ける」、では一流は?
「やりたいこと」はなくてもいい。
「やりたいことがない」のは「欠点」じゃなかった――人生が一変する新しい考え方
大学図鑑!2026 有名大学82校のすべてがわかる!
【理系の最高峰・ついに名称変更】東京科学大学に通う学生に聞いた「本音で一言!」
大学図鑑!2026 有名大学82校のすべてがわかる!
【旧帝大・東京科学大・一橋大に次ぐ難関大!?】千葉大学に通う学生に聞いた「本音で一言!」
「やりたいこと」はなくてもいい。
「やりたいことが見つからない……」と悩む人がとらわれている無意識の呪縛とは?
書籍オンライン
書籍 週間ランキング
5年で1億貯める株式投資
kenmo(湘南投資勉強会)著
大人も知らない みのまわりの謎大全
ネルノダイスキ 著
17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。
びーやま 著/高田ふーみん その他
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉 著
嫌われる勇気
岸見一郎 著/古賀史健 著
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール
ビル・パーキンス 著/児島 修 訳
人生は「気分」が10割
キム・ダスル 著/岡崎暢子 訳
いのちをまもる図鑑
池上 彰 監修/今泉忠明 監修/国崎信江 監修/西 竜一 監修/滝乃みわこ 著
ゆるストイック
佐藤航陽 著
コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前
西原 亮 著
(POSデータ調べ、6/22~6/28)
特集
25年 給料ランキング
パナソニック 正念場
5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…
40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全
あなたにおすすめ
トレンドウォッチ
【給与を上げない賃上げとは】中小企業必見の「第三の賃上げ」 日本企業を非連続成長へ【戦略的イノベーションデザイン】とは 「10年後に自社は存続しているのか」悩む前に起こすべき行動とは 【内定辞退させない】企業ぐるみで「面接力」を高める秘訣を公開 米国に大きく遅れを取る日本企業のAI活用。巻き返しの一手とは?
一覧を見る
最新記事
感じのいい人は知っている!メール・電話・チャットの正解
感じのいい人が「間違いを指摘する時」にさりげなく使う“2文字の言葉”とは?〈再配信〉
続・続朝ドライフ
『月刊くじら』始動!→金曜ラストでぜんぶ持っていった嵩「同僚編」ついに開幕!?【今田美桜コメント付き・あんぱん第70回レビュー】
News&Analysis
外国人観光客にまだバレてない?夏休みに行きたい「コスパ最強」な国内旅行先6選
タイミーさんが見た世界
40代タイミーおじさんが豊洲市場でスキマバイト!魚を仕分けながら“円安の波”を痛感したワケ
ニュースな本
天安門事件「戦車に立ち向かう男」の正体は?伝説の名シーンに隠された不可解な謎
最新記事一覧
DIAMOND SPECIAL一覧 広告企画一覧
X Facebook RSS
このサイトについて ダイヤモンド・プレミアムについて ダイヤモンド・プレミアム活用ガイド サイト利用規約 特定商取引に関する法律に基づく表示 プライバシーポリシー・著作権 よくある質問 広告掲載 お問い合わせ 法人導入について
Diamond Online(English) 週刊ダイヤモンド DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 書籍オンライン ザイ・オンライン ザイFX! ダイヤモンド不動産研究所 DIAMOND Quarterly The Salon HRオンライン クリプトインサイト ダイヤモンド教育ラボ
ダイヤモンド社TOP 会社概要 採用情報 お知らせ
© DIAMOND, INC.
新着記事 特集 書籍 週刊ダイヤモンド ランキング 動画
ジャンル
製造業 銀行・証券・金融 保険 建設・不動産 コンサル・士業 商社 運輸・物流 IT・通信 AI・テクノロジー エネルギー 医療・製薬 食品・農業 小売・外食 サービス・エンタメ メディア・広告 スタートアップ・新規事業 教育 財閥・学閥 予測・分析
経営・戦略 マネジメント ビジネス課題 ビジネススキル 営業・マーケティング マネー・投資 相続・節税 年金 キャリア・働き方 受験・子育て 教養
社会 健康 福祉・介護 ライフスタイル
国際 政治 マーケットラボ
ウォール・ストリート・ ジャーナル 主要企業一覧
法人プランの導入 法人プラン限定コンテンツ