結婚の後悔(5)
「相手の両親とうまく付き合えなかった」

 結婚後に義理の父や母の言動にストレスを抱え、我慢できずに離婚してしまった夫婦は後を絶ちません。結婚前は、結婚は当人同士の問題だから……なんて言っていた人も、結婚したとたんに家族の問題であることを痛いほど実感するようになります。

 まさに結婚が相性や愛情だけでは対処できない問題であることを、このときほど感じることはないでしょう。言うまでもなく、当人をどうしようもなくイラ立たせるのは、それが愛する相手の親だからであり、強く言うこともできず、反発すれば角が立ち逆効果、受け流していても文句を言われと、逃げても逃げても追ってくるような災難で、効果的な対処法がそう簡単には見つからないからです。

 また、本当はうまくやっていきたいという思いがあるからこそ、相手の両親に対する攻撃的な気持ちに自己嫌悪を覚え、ますますストレスが溜まります。一度そういう関係ができてしまうと、サンドバッグのように精神的に打たれ続けていくことになり、もはや苦痛以外の何ものでもありません。

 例えば、知人のTさんも、義理の母親とそりが合わずに離婚した一人です。比較的放任主義で育ったTさんは、結婚直後から頻繁に義理母から連絡がくることを少し気にしていましたが、子どもを出産すると、次第に毎日の電話は「今度送るから」「今日送るから」「今送った」「届いた?」へとエスカレートしたそうです。

 帰省するのがストレスになって、夫の実家に寄り付かなくなると、「孫は私の生きがいなのに」という電話がくるという始末。そんな折りに義理父が他界して、ついに義理母と同居することになると、家事には文句を言われ、「そんなことじゃ、孫の将来が不安だ」というセリフを言われ続け、もう限界ということで離婚を決めたそうです。

 義理母とのトラブルは、嫁姑だけではありません。Wさんも、奥さんの母親とソリが合わずに離婚してしまった一人ですが、家を買うときにお奥さんの実家に援助してもらったほうがより大きな家に住むことができるという理由
で悩んだ末、お義母さんと同居する選択をしました。

 共働きでしたので、育児のことを考えると「ばあば」は貴重な戦力で、そういう意味ではそれぞれが助け合いながらうまくやっていこうという方向性を共有していました。しかし、義理母は少し口うるさいところもあって、徐々にほころびが出始めたといいます。

 ある日、Wさんの後にお風呂に入ったお母さんが「おかしいわね、ちゃんとみんな体を洗ってからお風呂に入っているはずなのに、なんで湯船に垢が浮いているのかしら」とか、聞こえよがしに言うのだそうです。

 腕枕でテレビを観ていたWさんは、これまた聞こえよがしに舌打ちを返したといいますから、これではまるで冷戦のようです。そんな事態がしばらく続き、夫婦関係もギスギスし出して、Wさんは同居を心底後悔しながら離婚してしまいました。