会社の決め方ルールを応用
夫婦間でも「決める技術」が必要

 お金と時間の使い方は、もろにその人の価値観を表しますが、相手を自分の価値観に合わせるように無理強いするのは、ケンカになるだけです。価値観というのは、その人の生き方が表れるものですので、やはりお互いが歩み寄り、「修正主義」により相手を理解したり、受け入れたりするすり合せが必要になります。

 ただ、仕事のミーティングと同様に、何か決断するためには、感情的になったり、売り言葉に買い言葉にならないような「ルール決め」をしておかなければ、なかなか結論は出ません。例えば、職場のブレーンストーミングには「他人の意見を批判しない、論評しない」というルールがありますが、そのルールを用いるのもいいかもしれません。とにかく価値観が違っているのは当たり前なのですから、表現次第では必ず対立構造になってしまいます。

 知り合いの、とある事業部長は「決まるまでは徹底議論、決まったら従う」という会社のルールをそのまま家庭に持ち込んで、うまくいったそうです。また、夫婦の意思決定の基準をハッキリすること、会社の会議と同様にとにかく論理的に議論するというルールも踏襲したと言っていました。

 ちなみに、我が家にはプロジェクトミーティングの象徴であるような「ホワイトボード」がリビングにありますが、価値観のすり合わせという点では、意思決定の基準をハッキリさせることと、論理的に話すことの二点で、ホワイトボードを置く前と比べて衝突する回数は明らかに減りました。

 例えば、臨時収入のボーナスが入ったとき、欲しいものをホワイトボードに書き出していきます。お金の使い道のアイデアを目に見えるように並べてみると、具体的に話せるようになります。

 並べてみないことには、あれもやりたいこれもやりたいと自分の中でも堂々巡りが始まり、そこに相手も加わるので、とても結論など出ません。要は、お互いのアイデアを一回、外に出して客観視してみるわけです。人は言われるより書かれるほうが納得感が高いですし、他人に言われるより一緒に文字を見るほうが、不思議とお互い感情的にもなりません。

 まずは思いつく限り書き出してみて、今度はそれを「やりたい順」に並べる。夫婦別々にやりたい順番をつけてみて、一致している部分を探すというような、結論の出し方にも会議のルールを参考にすれば、感情的になりがちな夫婦のエンドレスな議論を回避することができます。