インターネットの「知の巨人」、読書猿さん。その圧倒的な知識、教養、ユニークな語り口はネットで評判となり、多くのファンを獲得。新刊の『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せるなど、早くも話題になっています。
この連載では、本書の内容を元にしながら「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に著者が回答します。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

9割の人が知らない「退屈な会議からがっちり学びを得られる」最強の方法Photo: Adobe Stock

[質問]
議事録をうまく取る方法を知りたいです

 読書猿さんこんにちは。今年から会社員として働き出した者です。つい最近ミーティングの議事録係を任されたのですが記録を取るのが下手くそすぎて苦労しました。そもそもメモを取るという行為が苦手なのですが何か克服できる方法などありますでしょうか?

事前に会議を予測してみましょう

[読書猿の解答]
 議事録作成はそもそも新人には難しいタスクですが、その理由はミーティング(会議)のコンテクストが分からないと記録すべきポイントが分からず、さらに進行の予測も立たないため準備もできないからです。

 逆に言えば、会議のどの結果がどう仕事に影響与えるかというコンテクスト(会議の外への影響)が分かれば、最低限記録すべきこと/情報の軽重が分かり、記録に余裕が出ます。また進行の予想がある程度でもつけば、議事録の一部を事前に作っておけます(会議中に記録すべきことがそれだけ減ります)。ワーキングメモリに余裕がある人ならとにかく記録できるだけ記録して後で取捨選択、という手が使えますが、メモ自体が苦手ならワーキングメモリの負担を減らす工夫をする方が現実的だと思います。

 繰り返しですが、
(1)予測によって議事録の中で事前の作れる部分は先に作っておく(結論など完全に予想がつかなくても、いくつかの選択肢から選ばれるなら、すべての選択肢を書いておき、会議中に決まったものに丸をつけるなど記録の負担を減らす)。

(2)コンテクストを理解し、絶対に記録すべき項目は先に書き出しておき(欄をつくるなど)、それだけは必ず埋めるようにする
など事前準備で記録の負担を減らすのはどうでしょうか。

 予想は間違うことがありますが、予想すればこそ間違いから効率よく学習ができます。