インターネットの「知の巨人」、読書猿さん。その圧倒的な知識、教養、ユニークな語り口はネットで評判となり、多くのファンを獲得。新刊の『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せるなど、早くも話題になっています。
この連載では、本書の内容を元にしながら「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に著者が回答します。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
日本語をきちんと勉強して、言葉で人を救うことができるような職に就きたいと思っている中学3年生です。将来のために言葉をきちんと学ぶ方法が知りたいです。できる限り多彩で沢山の知識を頭に詰め込みたいです。本、学校、ご自身が思う言葉について、何でもいいのでご教授願います。
ひどい言葉で自分をいっぱいにしないために
[読書猿の解答]
私に答える資格があるのかと思うほど志高いご質問ですが、できるかぎり答えてみましょう。
日本語の力を高めるには、書いて読むのが一番です。毎日決まった分量の文章を書き、読み返すことから始めましょう。書いた言葉は残り、後で詳しく検討することができます。検討する中で、あなたの言葉を扱う力は高められていきます。
この段階での参考書は、『日本語の〈書き〉方』(岩波ジュニア新書)がよいです。もう少しレベルが高いものでは『日本語練習帳』(岩波新書)があります。
もしも書くことがあまり得意でなかったり、何を書けばいいか思いつかないときは、自分で書く代わりに、好きな文章を見つけて書き写すのでもよいです。書き写せば、自分の中に言葉が蓄積されていきます。こうして蓄積される言葉はあなたを形づって行くものです。ひどい言葉で自分をいっぱいにしないためには、20年先にその言葉を使う自分でいたいかを考えるとよいでしょう。
書いて読むのを続けながら、次は自分の日本語の力を、自分が今いるレベル以上に高める段階です。
『はじめての文学講義――読む・書く・味わう』(岩波ジュニア新書)という、とっておきの本があります。かなりレベルは高いですが、これをやっておくと、その後の日本語生活が一変すると思います。