大阪市を廃止して4つの特別区を新たに設置する「都構想」の賛否を問う住民投票は、僅差で反対が賛成を上回り、2015年に続いて再び否決された。賛否を分けたのは、投票を呼び掛けるため大阪のおばちゃんの“戦闘服”をまとった小型自動車だったかもしれない。反対派の自民党大阪市議会議員に話を聞き、住民投票を振り返る。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
反対した理由で最多だったのが
「大阪市がなくなる」の調査結果も
「大阪市がなくなるから」73%――。読売新聞が10月23~25日に大阪市民を対象に実施した世論調査。いわゆる「大阪都構想」については、賛成44%、反対41%とほぼ拮抗していたが、ここで反対と答えた人に理由を尋ねると、複数回答とはいえ、これが最多だったのだ。
2位以下は、「住民サービスが低下するから」68%、「行政の無駄削減につながらないから」67%、「新型コロナウイルスなど他に優先すべきことがあるから」65%と続く。
11月1日に大阪市で行われた、「都構想」の賛否を問う住民投票は、正式名称を「大阪市廃止・特別区設置住民投票」といい、賛成67万5829票、反対69万2996票と反対が約1万7000票上回り、否決された。「都構想」を推進してきた大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は結果を受けて、市長の任期満了時の政界引退を表明した。維新の会代表も辞任する見通しだ。
「都構想」反対派で多くのメディアに出演するなどしてきた自民党の川嶋広稔大阪市議会議員は「11月1日の投票日までに、都構想のメリットやデメリットをめぐるさまざまな議論や報道があったが、『大阪市がなくなる』という住民の意識の変化が一番大きかったのではないか」と振り返る。
「大阪市がなくなる」――。有権者にこうした認識を強く印象付けた最大の要因とされるのが、前出の住民投票の正式名称「大阪市廃止・特別区設置住民投票」だと関係者の間で指摘されている。