大阪・梅田Photo:PIXTA

 大阪都構想の是非を問う住民投票が11月1日(日曜日)と間近に迫ったせいか、インターネット上では都構想のデメリットを声高に叫ぶ反対論ばかりが目立つように見受けられます。しかし、反対論者が主張するように、本当に都構想はデメリットの方が多くて否決されるべきなのでしょうか。

政令指定都市とはそもそも中途半端な存在だ

 私は、むしろ大阪の将来を考えると都構想は実現されるべきと考えています。反対論の多くは、大阪市の行政サービスの細部を取り上げ、それが都構想によって悪化するからダメだと主張するか、府と市の二重行政による弊害は実際にはそんなにないのだから、都構想は意味がないと主張しているように見受けられます。

 もちろん、そうした細部に関する議論も大事ではあるのですが、その前に一度、都構想の意義という大枠に立ち返って考えることが必要だと思います。

 そもそも、大阪市は政令指定都市ですが、この政令指定都市というのは、今の地方自治制度の下では非常に中途半端な位置付けになっています。通常は、都道府県が広域にわたる行政事務を担う一方で、市町村が住民に近い行政サービスを担うという役割分担になっています。

 ところが、政令指定都市は都道府県の権限の多くを委譲され、しかもその下に設置される区の区長は選挙で選ばれるのではなく市長が任命し、区議会もないため、政令指定都市の市長が広域行政と住民に近い行政サービスの両方を担わなければならないという、ある意味で無茶な状況にあるのです。

 それでも、政令指定都市の人口の下限が50万人であることからも分かるように、人口が100万人未満ならばまだ何とかなるかもしれませんが、大阪市のように人口270万という超巨大な政令指定都市では、選挙で選ばれた市長が一人だけで広域行政ときめの細かい行政サービスの両方を担うことは、どう考えても不可能です。