イギリスからの翻訳書Google・YouTube・Twitterで働いた僕がまとめたワークハック大全』が本年9月に発売された。コロナ禍で働き方が見直される中で、有益なアドバイスが満載な1冊だ。著者のブルース・デイズリー氏は、Google、YouTube、Twitterなどで要職を歴任し、「メディアの中で最も才能のある人物の1人」とも称されている。本書は、ダニエル・ピンク、ジャック・ドーシーなど著名人からの絶賛もあって注目を集め、現在18ヵ国での刊行がすでに決定している世界的なベストセラー。イギリスでは、「マネジメント・ブック・オブ・ザ・イヤー 2020」の最終候補作にノミネートされるなど、内容面での評価も非常に高い。本連載では、そんな大注目の1冊のエッセンスをお伝えしていく。

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もっと同僚と「仕事の話」をしてみよう

 ヒューマナイズ社のCEOベン・ウェイバーは、ヒューマナイズ社がバンク・オブ・アメリカ社のコールセンターで行った実験的な試みについて話してくれた。

 コールセンターは資本主義を突き詰めたような場所だ。すべては生産性を最大化することが中心になっている。

 フロアに配置した数千人ものオペレーターにできる限り多くの電話に対応させるにはどうすればいいか。しかも、問いあわせをしてきた人に満足のいく解決策を提示する必要がある。日々、そのような課題と向きあわなければならない。

 コールセンターのオペレーターのような個人主義的な仕事には、チームワークや共感的な「シンクロナイズ」、アイデアのフローを促すようなチーム内のコミュニケーションは不要なのではないかと思うかもしれない。

 実際、ウェイバーたちが観察したコールセンターのオペレーターは孤立していた。毎日、電話の応対の合間に午前と午後の1回ずつ、1日2回の休憩をとる。

 それぞれが別の時間帯に休憩をとり、休憩室でお茶やコーヒーを飲んでから、電話が鳴り響くオフィスに戻っていく。

 ウェイバーたちは、この職場のシステムを変更し、個別ではなく、チーム全体で休憩をとるようにした。メンバーは全員が集まって、15分間の休憩時間を、絶え間ない質問や苦情の嵐から離れて過ごせるようになった。

 その結果はどうだったか?

 そのうちの1つは、特別な驚きを与えるものではなかった。ウェイバーは言う。「グループの結束力は18パーセント高まった。これはチーム全員が同じ時間に休憩をとることによって予測された効果だった」。

 だが、銀行の経営陣を驚かせたのは他の影響だった。まず、ストレスレベルが19パーセント低下した。これは回答が難しい電話について同僚と話せるようになったことが大きい。

 第二に、15分間のコーヒーブレイクを全員でとるというコストゼロの改善策が実施されたことで、チームの生産性は23パーセントも上昇した。

 つまり、コールセンターを「シンクロナイズ」させる方法を導入したことで、生産性は4分の1近くも上がったのだ。

 もちろん、これはよく考えてみればとても明白なことに思える。

 コールセンターのオペレーターは、キツい苦情電話に対応しなければならない。温かく穏やかな口調で喋る相手はめったにいない。

 オペレーターのストレスは他の職業の平均値をはるかに上回り、会話を終えると消耗してしまう。

 電話口の相手は、家族や友人などの親しい人には見せないような激しい怒りをぶつけてくる。

 返金を求める人、無料のサービスを求める人。それは格闘ゲームを初めてプレイするときに、どんな動きをするかはわからないけど、とにかくボタンを手当たり次第に押すのと似ている。苦情電話をかけてくる人は、あの手この手を使って自分の要求を通そうとしてくる。

 以前、バラバラに休憩をとっていたとき、オペレーターは1人でカフェテリアや休憩室に行き、知りあいのいないその場所で15分間じっと座り、携帯電話の画面をスクロールし、コーヒーを飲むと、直前の会話で電話口から聞こえてきた怒鳴り声がまだ耳に残っている状態で、コールセンターの広大なフロアに戻っていた。

 しかし、同じチームの全員で休憩をとるようになってからは、たったいまの電話の内容について同僚と話せるようになった。

 帰宅してパートナーに話すには退屈すぎ、夕食を共にする友人に話すには重たすぎる内容だが、同僚になら気兼ねなく話せる。