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優れたビジネススキルや営業スキルを活用するにも、顧客それぞれをよく見て対応しなければ、結果は出ない。根本に必要な「人を見るスキル」とはどのように養われるだろうか。(AKTANA International LLC プリンシパルコンサルタント 高橋洋明)

スキルや概念は、「人」が大事

 前回は、私の病院経営のコンサルティングの事例から、「人を見ていないスキルは結果が出にくいこと」を見てきた。この事例は、ミスコミュニケーションによって有益なスキルや概念が無効化されてしまった例だ。簡単に振り返ってみよう。

 「医療の質の向上」という目的や意図のもと、病院経営に有益な概念であるバランスト・スコアカードを導入しようとした病院グループがあった。バランスト・スコアカードそのものは良かったのだが、これを導入しようとする病院が新しい取り組みを職員に分かるように伝えられなかったため、職員の理解と納得が得られなかった。結果として、バランスト・スコアカードがうまく機能せず、組織に混乱をもたらし、多数の看護師の退職者を出し、現職の職員が皆疲弊するという事態に陥ったという事例だ。

 この事例は、スキルや概念は相手に伝わるように、理解・納得してもらえるように駆使しなければならないということを示唆するものだった。私たち営業は、安易に売れるスキルやノウハウを追い求めるのではなく、「ビジネスは人が行うことなので、人をよく見てビジネスをしなければならない」「人に何かを伝え行動してもらうためには、最適なコミュニケーションが欠かせない。それなしではスキルや概念は役に立たない」ということを肝に銘じる必要があるだろう。

 これを踏まえて、今回は「人を見る」という観点から、私たち営業が自分自身で取り組めることがあるか、あるならどのような取り組みが良いか、を考えていこう。