これまでの連載では、優れたビジネススキルや営業スキルをたくさん身につけておくことの重要性を見てきた。しかし、それらのスキルがあっても結果が出ないこともある。結果が出るスキルと出ないスキルとは?スキルの何が違うことで得られる結果が変わってくるのだろうか?ある病院での実例をもとに考えてみよう。(AKTANA International LLC プリンシパルコンサルタント 高橋洋明)
ある病院グループの業務評価システム
バランスト・スコアカード
私がある地域の病院グループの経営支援としてコンサルティングしたときのことだ。その病院グループでは、バランスト・スコアカード(Balanced Scorecard、またはBSCとも表記)という業務評価システムを導入していた。バランスト・スコアカードは、ロバート・S・キャプラン(ハーバード・ビジネス・スクール教授)とデビッド・ノートン(コンサルタント会社社長)が1992年に「Harvard Business Review」誌上に発表した業績評価の概念である。
一般に、組織にバランスト・スコアカードが導入される際は、その組織の戦略・ビジョンが4つの視点で分類される(下図参照)。
(2) 顧客の視点
(3) (その組織内の)業務プロセスの視点
(4) (所属メンバーの)学習と成長の視点
そして、その組織の戦略やビジョンと連携した財務的指標(例:売り上げアップ等)、および非財務的指標(例:メンバーのスキル向上等)を設定する。
このバランスト・スコアカードがなぜ病院でも用いられているのかというと、「『医療の質』『経営の質』両面のバランスがとれた経営改革や業務改善を推進し、質の高い医療サービス提供体制実現するため」に役立つと考えられているからだ。