かつては「高齢者の病気」というイメージが強かった「帯状疱疹」。しかしこの10年で、20~40代の「子育て世代」での発症率が急増している。折しも、11月12日は「皮膚の日」。その意外な理由や予防方法について解説する。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
「子育て世代」の
帯状疱疹が増えている
50歳を過ぎると発症率が上昇し、80歳ともなれば3人に1人が発症するといわれている「帯状疱疹」。これまでも発症率は年々増加傾向にあったが、「高齢者の病気」というイメージが強く、40歳前なら安心と思われてきた。しかしこの10年で、他の年代と比較して20代から40代の発症率が急増していることが最新の疫学調査で明らかになり、問題になっている。
宮崎県内の診療所31施設と総合病院10施設が参加(2019年12月時点)し、1997年から続いている世界最大規模の帯状疱疹の疫学調査「宮崎スタディ」によると、2010~2014年の5年間と2015~2019年の5年間の比較では、20代、30代、40代の年間発症率はそれぞれ1.37倍、1.41倍、1.32倍も増えていたのだ。50歳代の1.11倍、60歳代の1.12倍、70歳代の1.16倍とは増加の勢いが違うこの数字には、確たる理由があると専門家は言う。それは2014年10月、生後12カ月から36カ月までの小児を対象に水痘ワクチンが定期接種化されたことだ。