スティーブン・ムニューシン財務長官とジェローム・パウエルFRB議長Photo:Drew Angerer/gettyimages

 米金融市場の沈静化に寄与した連邦準備制度理事会(FRB)の緊急貸出制度を巡り、延長の是非が与野党の火種に浮上してきた。

 追加経済対策を巡る議会の交渉が暗礁(あんしょう)に乗り上げていることも、FRBの緊急支援策に関する与野党の隔たりを大きくしている。ジョー・バイデン氏の大統領当選が確実になった民主党は、議会が行動しない場合、FRBの措置が一段の支援を提供する手段になるかもしれないとみている。一方、共和党内では、議会の管轄である財政支出の代替策として、FRBの融資能力に依存することへの警戒感がくすぶる。

 与野党の対立が先鋭化すれば、新型コロナウイルス危機で機能停止に陥りかけていた金融市場を支援するため、これまで総じて二人三脚で取り組んできた財務省とFRBの間にも隙間風が吹きかねない。財務省は企業や地方自治体への信用の流れが脅かされていた3~4月、FRBとともに緊急支援策を打ち出した。