中国は第5世代移動通信システム(5G)を巡る競争で、もはや多くの点で米国をリードしているだけではなく、大差をつけている。中国は5G契約者に関して、総数だけでなく普及率でも米国を上回っている。販売されている5G対応のスマートフォンの数も多く、価格も安い。国内の5G利用可能範囲も広い。国内の平均通信速度も米国を上回っている。5Gが単なる進化ではなく革命をもたらすと言われているゆえん、すなわち、超高速・大容量通信によって可能になる応用分野については、中国の首位の座はさほど盤石ではない。自動運転車や遠隔手術、工場生産自動化などの世の中を一転させるような応用分野については、米中ともに普及にはまだ数年かかる。しかし、中国は5Gネットワークの敷設で先行しているため、そうした点でもいずれ米国に大きく水をあける可能性がある。