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 日本のハイテク富豪でソフトバンクグループ創業者の孫正義氏は春に巨額の赤字を計上した際、「崖下をのぞいている」状況だと述べた。だが同氏は今、投資業界で有数規模の手元資金を蓄えている。

 孫氏は意表を突く戦略の急転換によってソフトバンクGを瀬戸際から引き戻した。投資や事業計画の柱となっていた保有資産を売却し、自社株買いを断行。それにより、主要事業会社に対する過半数株式を手放し、ソフトバンクGの投資会社への転換を終えるとともに、「何事もとことんやる」という自らの評判を決定的なものにした。

 孫氏は、2000年代初頭のドットコムバブル崩壊による窮地も生き延びた。今回は、変化を迫る新たな勢力の存在があった。

 春の株価急落により、ソフトバンクGの時価総額が2週間で約500億ドル(約5兆2300億円)吹き飛んだ際、孫氏ら経営陣は毎日、米ヘッジファンド、エリオット・マネジメントの幹部と電話会議を開いた。この協議に詳しい複数の関係者が明らかにした。同関係者によると、エリオットは昨秋以降、ソフトバンクG株を買い集めており、孫氏に次いで2番目に多くの株式を保有しているとみられる。