2019年に中国で発生した新型コロナウィルス(COVID-19)は、2020年に世界中で大流行し、いまだに収束する気配がない。
日本政府はGo Toキャンペーンに熱心だが、季節が冬に向かうのに合わせてか、北海道の感染者が激増している。
ヨーロッパでは再びロックダウンに踏み切る地域も出てきた。
経済アナリストであり、歴史にも詳しい中原圭介氏は、この状態が長引く、あるいは収束してもすぐに次のウィルスが現れると読む。
つまり我々は、ウィルスと共存する時代を生きていかねばならないのだ。
我々はこの困難な状況の中でいかにして経済を立て直していくべきなのか?
中原圭介氏の最新刊である「疫病と投資」から一部を引用し、考えてみたい。
地球温暖化が感染症に拍車をかける
地球温暖化が未知のウイルスを次々ともたらすというリスクは、決して大げさな話ではありません。
気温の上昇がシベリアの永久凍土や南極大陸の氷を溶かすことによって、氷や土のなかに封じ込められてきたウイルスが蘇生して人に感染するというシナリオは、決して無視することが出来ないのです。
実際に、2016年にロシアのヤマル半島では、溶け出した永久凍土のなかにあったトナカイの死骸から炭疽菌の感染が広がって、現地住民が70人以上入院しています。ロシアの疫学研究所によれば、マンモスの死骸のなかから未知のウイルスが発見されているといいますし、各国の科学者の間でも、温暖化が進めば進むほど未知のウイルスに感染するリスクが高まっていくと懸念されています。
しかし、この件についてアメリカではあまり盛んに議論されませんでした。これは、トランプ政権が地球温暖化について懐疑的なスタンスを取り続けてきたからです。地球温暖化と感染症リスクについて考えると、他にもさまざまな感染症が地球規模で広まる恐れがあります。
加えて地球温暖化によって、従来は熱帯、亜熱帯の地域で流行るはずの感染症が北上してくるリスクも高まってきています。たとえば蚊を媒介とする感染症には、マラリアやデング熱、ジカ熱などがありますが、実際に2014年には、日本でデング熱に罹った人が出ました。公園で蚊に刺されたのが原因です。この時は東京の代々木公園が封鎖される騒動が起こりました。最終的に日本でデング熱に罹った人の数は108人に上りました。
※当記事の配信時点で、「もし炭疽菌を外国人が自国に持ち帰っていたら、爆発的に広がっていたかもしれない」という趣旨の文章がありました。しかし炭疽菌のヒトヒト感染の事例は報告されておらず、「爆発的に広がっていたかもしれない」という表現は誤りでした。2020年12月9日より該当部分を削除しております。