2019年に中国で発生した新型コロナウィルス(COVID-19)は、2020年に世界中で大流行し、いまだに収束する気配がない。
日本政府はGo Toキャンペーンに熱心だが、季節が冬に向かうのに合わせてか、感染者が激増している。
ヨーロッパでは再びロックダウンに踏み切る地域も出てきた。
経済アナリストであり、歴史にも詳しい中原圭介氏は、この状態が長引く、あるいは収束してもすぐに次のウィルスが現れると読む。
つまり我々は、ウィルスと共存する時代を生きていかねばならないのだ。
我々はこの困難な状況の中でいかにして経済を立て直していくべきなのか?
中原圭介氏の最新刊である「疫病と投資」から一部を引用し、考えてみたい。

毎日ムダになっていた<br />「1時間30分」を活用せよPhoto: Adobe Stock

コロナ下の「テレワーク」は
日本の生産性を上げる

テレワークを導入した企業の生産性は2~3割程度、上がると思われます。なぜなら、日本の会社員にとって毎日の「通勤」は「痛勤」と表現されるほど肉体的および時間的な負担が大きいからです。

総務省の最新の統計によれば、都道府県で1日の通勤時間が長いのは神奈川県の1時間45分をトップに、千葉県の1時間42分、埼玉県の1時間36分、東京都の1時間34分と続いています。このように東京圏(一都三県)の通勤時間は、全国平均の1時間19分と比べてとりわけ長くなっているのです。神奈川県にしても千葉県にしてもあくまで平均の時間ですから、通勤に2時間程度かかっているケースも決して珍しくありません。また、東京圏に次いで大都市圏である大阪圏に通勤している人の場合だと、通勤に1時間30分以上を費やしているのは当たり前の状況となっています。こうした通勤の負担がなくなるだけでも効果が大きいのは、誰にでも容易に理解できることでしょう。

在宅勤務の最大のメリットは、通勤時間がなくなることです。会社始業時間より早い午前7時~8時に仕事に取り掛かり、午後3時~4時に終わらせることも可能になります。満員電車による通勤で体力を消耗することもなく、最初から仕事に集中できるというメリットもあります。その結果、仕事における生産性を高める一方で、残業時間を減らすことが出来ると考えられています。

恐らく電車に揺られて通勤している人は、この1時間30分を居眠りに費やすか、スマホでゲームをするなど「暇つぶし」に充てているのが普通ではないでしょうか。それすら出来ない満員電車状態であれば、まさに通勤地獄です。「仕事で疲れている」とか「ストレスが溜まっている」など理由はいろいろあると思いますが、その疲労やストレスの原因は、日々の通勤地獄によるものかも知れません。

それがなくなれば、この1時間30分をもっと有効に使えるはずです。65歳以降も働けるように健康作りを目的にしたジム通いでもいいですし、資格取得のための勉強に費やしてもいいでしょう。ビジネスパースン一人ひとりが自分で工夫して1時間30分を有効活用すれば、生産性はさらに向上していくはずです。

関連記事
ワクチンは決定打にはならない