薬物療法をしながら
禁煙の徹底と運動に励む

 治療の基本は生活改善だ。

 トモアキさんは30年以上のキャリアを有するヘビースモーカーだったが、足を切断するか禁煙かどちらかの選択になると諭され、泣く泣く禁煙を選んだ。しかし自信はないので、禁煙外来に通う予定だ。今後は、血圧とコレステロール値の管理もしっかりと行わなければならない。

 運動療法も大切だ。理学療法士の指導を受け、正しい歩き方で1日30分以上の歩行訓練を週3回、3カ月以上続けることになった。歩行訓練を続けることで細い血管が発達し、足の血流が改善すると言う。ただ、既に間欠性跛行に陥っているので、運動療法と同時に薬物療法を行い、血液をサラサラにする薬を飲みながら、運動療法に励まなくてはならない。

 症状がIII度、IV度と進行した場合には、途絶えた血流を再開させるために、カテーテルで血管を内側から広げる血管内治療や、詰まった血管を迂回してその先の血管につなげるバイパス手術を受ける必要があるが、幸いトモアキさんはまだ軽症なので必要ない。早期発見・早期治療は、PADにおいても大切だ。

 妻は毎朝、テレビの情報番組を見ており、健康情報はほぼ番組からの受け売りだ。

(テレビもずいぶん役に立つんだな。PADを見つけてもらったこと、循環器内科を勧めてもらったことだけでも感謝しなくちゃ)

 これで最後と決めたタバコを深々と吸い、煙を長くゆっくり吐き出して、トモアキさんは帰路についた。

※本稿は実際の事例・症例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため患者や家族などの個人名は伏せており、人物像や状況の変更などを施しています。

(医療ジャーナリスト 木原洋美)