こうした事態を避けようと、菅政権は地方銀行や中小企業の再編統合を進める方針を打ち出し、日銀は経営合理化や統合をする地銀などに、その当座預金に0.1%の付利を与える「補助」を出す新制度を始めるという。

 異常な金融緩和が地銀を破綻に追い込んでいき、そのリスクを「回避」するために、さらに日銀から隠れた補助金を支給する。まるでマッチポンプのような「救済」策。

 日銀は国債やETF(指数連動型上場株式投信)、社債、CP(コマーシャルペーパー)の買い入れを次々と拡大してきた。その資産は700兆円近くに上り、名目GDPの1.37倍に達している。

 だが国債やETFは売るに売れず、一方で株価などが下落すれば買い増しせざるを得ないという“出口のないねずみ講”に陥っている。そのうえに、地域金融機関のリスク管理の弱い貸付債権まで抱えて、過剰な流動性を供給し、バブルを起こしているといってよい。

コロナ感染拡大が続く限り
実体経済の悪化は続く

 こうして見ると、菅政権の経済政策の本質が見えてくる。

 来年秋には衆議院議員の任期満了になり、少なくとも1年以内に総選挙が行われる。それを意識して、なんとかバブルを持たせようということのようだ。

 Go To事業の継続や東京オリンピック・パラリンピックの開催にこだわるのも、経済優先で景気を回復させることが政権維持に直結すると考えているからだろう。

 無観客だと米国のテレビは放映料を支払わないとしているために、IOCも東京オリンピックの開催に固執している。オリンピックが中止になれば、五輪利権が損なわれ、菅政権にとってもバブル崩壊をもたらすきっかけになるからだ。

 だが前述したように、無症状者への徹底検査を怠って、「ウィズ・コロナ」や「新しい生活様式」といった政策をとる限り、感染拡大が続き、結局、経済の回復も遅れる。

 企業収益の悪化と倒産・休廃業は止まらず、雇用削減も続く危険性が高い。

 つまり、菅政権が「異常」な金融緩和でバブル経済を持たせようとしても、コロナ禍が続く限り、企業収益と雇用という実体経済の悪化が続かざるを得ないのだ。

 そして企業や個人への融資の焦げ付きが生じれば、日銀信用まで著しく傷つけてしまう。

 最悪の場合、日銀のバランスシートが痛み自己資本の毀損(きそん)となれば資本注入という事態になって、それは国民の負担になる。他方で、円への信認が崩れ、財政不安と増幅する形で円安が加速すれば、超インフレになり、これも結局は国民の負担増ということになる。