多くの人が、がんの医療費が
非常に高額だと思い込まされている!

 がん治療に必要と思い込まれている300万円という数字の根拠はどこにあるのか。恐らくは、保険のCMや広告などで盛んにうたわれているからだろう。しかし、これは健康保険が利かない高額な高度先進医療費に関する話だ。実際、高度先進医療の7割をがん治療が占めており、この治療費をカバーする先進医療特約は、医療・がん保険特約の代表的存在だ。

 問題は、先進医療イコール「夢の治療法」と思い描く人が少なくないことだ。しかし、がん研究における権威ある医師は明かす。

「先進医療というより『新規開発医療』とでも呼んだほうが実態に即している。実験段階のようなもので、特にがん治療ではその傾向が強い。効果が出る人は多くない」

 公的医療保険の対象となる治療法は、決して時代遅れではない。確実に効果があると認められた証しなのだ。先進医療もその有効性が認められれば、遠からず公的医療保険に組み込まれる。

 そもそも先進医療を行える病院も数少ない。例えば、重粒子線治療を扱う病院は、全国にわずか3カ所で、治療件数も多くない。

医療保険、がん保険の総支払額と
現在の給付額平均を比較してみよう

 さまざまな制約の上に成り立つ医療・がん保険。問題をカネに絞っても合理性に疑問が残る。

 単純に計算して、40歳加入の終身保険20年払いで保険料が月1万円とすると、年間保険料は12万円、20年で240万円だ。元を取るには生涯で12回入院する必要がある。なぜなら、大手生保の入院1件当たりの給付額は、入院・手術合わせて20万円前後とされるからだ。

 保険と貯蓄、どちらが合理的なのか、立ち止まって考えることが必要だ。


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