米中対立が続く中、日本は独自の外交努力で手に入れたTPPをどのように扱うべきか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

米国抜きのTPP合意は
日本の新しい外交の第一歩

 日本が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に参加したとき、その後、米国がTPP協議から離脱し、11カ国でスタートすることになると想像できた人は、ほとんどいなかったのではないか。

 TPP交渉は、シンガポール、ニュージーランドなど4カ国の経済連携協定の拡大交渉がベースとなり、オバマ政権時の米国が力を増してきた中国をけん制するために参加を表明し、日本も遅ればせながら参加表明した経緯がある。TPP交渉は、まさしく米国追従の日本外交の典型のような話で始まった。

 米国は、トランプ大統領の誕生によって、突然TPPを離脱することになったが、これもわがままな米国にありがちな出来事であった。こういうときに、米国がダメならば諦めるしかないというのが、米国に振り回される日本のお定まりの姿であった。

 しかし、ここで日本が諦めず、残った11カ国でTPP合意に至ったことは、それまでの日本の外交とは一線を画すものとして評価できる。もっとも、最初から米国を除く自由貿易協定を目指していたら、米国が容認するはずもなく、実現しなかっただろう。

 運にも恵まれたとはいえ、日本は独自の外交努力で手に入れたTPPを大事にしないといけない。米国が戻ってきてくれないとTPPの意義は小さいという意見もあるが、そんなことはない。米中対立が続く中、米国と中国以外の国々からなる自由貿易協定を立ち上げた意義は大きい。

バイデン大統領が誕生しても
米国がTPPに復帰する可能性は低い

 バイデン大統領の誕生によって、米国がTPPに戻ってくるのではないかという期待が出ている。たしかに、トランプ大統領が離脱を宣言した世界保健機関(WHO)や気候変動抑制に関するパリ協定への復帰は、バイデン政権の喫緊の課題になる。

 これに対しTPPは、オバマ大統領の時にバイデン氏が副大統領として推進してきた協定であるとはいえ、そこへの復帰は今のバイデン氏にとって優先順位が低そうだ。