東アジア中国との仲介役を期待していたインドが不参加。それでも日本がRCEPに参加したことのメリットは大きい(写真はイメージです) Photo:PIXTA

超巨大経済圏RCEP誕生へ
日本にとってのメリットは?

 日中韓3ヵ国と豪州、ニュージーランド、ASEAN(東南アジア諸国連合)10ヵ国の計15ヵ国は、11月15日に自由貿易圏構想「地域的包括的経済連携」(RCEP/アールセップ)に正式に合意し、協定に署名した。

 参加国の人口やGDPの合計は、TPP(環太平洋経済連携協定)やEU(欧州連合)などのEPA(経済連携協定)よりも大きくなり、世界人口の約3割、GDPの約3割を占める超巨大経済圏が誕生する。

 ピーターソン国際経済研究所の推定によれば、RCEPにより2030年までに世界のGDPは1860億ドル増加する見通しだ。また日本国際問題研究所によると、各国・地域のGDPへの影響は、日本が+5.0%、中国が+4.6%、韓国が+6.5%、ASEANが+5.4%と、それぞれ大きな効果が期待される。

 RCEPの交渉は、2012年に中国の提唱によって始められたが、その後交渉は長らく滞っていた。インドは2019年までは交渉に参加していたが、中国製品の流入が国内市場に打撃をもたらすことへの懸念や、RCEP交渉に参加していない米国への配慮などから、最終的には協定の署名を見送った。

 コロナショックで各国が内向き傾向を強めやすい環境下で、こうした自由貿易協定の締結が先送りされずに成立したのは、まさに画期的である。各国共に、コロナショック後の経済回復の原動力として、貿易の拡大に期待していることの表れ、という面もあるではないか。