それからというもの、金融機関や街金融との窓口は20歳になったばかりの私が務めることになりました。当時、融資の際に担保になっていた田んぼと畑、自宅や作業所をすべて任意売買で処分し、家も他人の手に渡りました。大学を辞めようかと悩みましたが、ほぼ2年次で卒業認定単位は取れそうだったので、3年、4年は学校に行かず、地元で大工さんのアルバイトをする生活をしました。

 社会人になってからは、とにかく早くお金を増やすにはどうしたらいいかばかりを考えていました。そんなとき書店で立ち読みしたのが当時「金儲けの神様」と呼ばれていた邱永漢さんの本です。とても読みやすくて、ほとんど本を読まなかった私でもすらすら読めました。その後、私は邱永漢さんの本ばかりを読み漁りました。

 そして邱永漢さんの教えに従って、株と不動産でお金持ちを目指そうと決めました。当時から邱永漢さんの本には、サラリーマンの副業は株と不動産しかないと書かれていたのです。

 25歳で株式投資を始めて、それから株にのめり込んだおかげで、当初はたくさんの授業料を払いましたが、その後は低位株の待ち伏せ投資で稼げるようになりました。

 不動産についても20代で裁判所の競売コーナーに足しげく通い、基礎的な知識が身についていきました。のちに宅地建物取引士試験に合格できたのも、このときの経験が生きました。

 こうした投資の知識やスキルが備わることは、「一生ものの稼ぎ力」を身につけたも同然だと思っています。

ファイナンシャルリテラシーを磨くのに役に立つ
最強の資格とは?

 サラリーマンがダブルワークなどをしないでお金持ちになろうと思ったら、株と不動産をやるしかないと思います。ただし、株と不動産で成功するには、勉強や実践に、働いている時間の半分程度の時間を費やす覚悟が必要です。

 毎日、日経新聞を1時間かけて読んだり、『会社四季報』を読むことに土日すべてを費やしたり、物件検索と現地確認や不動産業者回りに土日や有休を使い果たしたりしている方が多いです。

 よく「1000時間の法則」といわれます。どんなことでも興味を持って取り組めば、1000時間くらいでセミプロやその道の中上級者レベルに到達するというものです。まずはここを目指してほしいと思います。

 日本の平均年間総実労働時間はここ数年約2000時間前後で推移していますので、その半分くらいの時間をかけると、そこそこのレベルに到達します。例えば、1日平均して3時間、毎日取り組めれば、365日で1095時間になります。

 さらに上を目指すには、これを10年間続けると、「1万時間の法則」でいわれるレベルに到達し、分野を問わず「一流」や「トップレベル」の達人として一目置かれる存在になっているはずです。