ジョー・バイデン次期米大統領は、北大西洋条約機構(NATO)事務総長と最近行った電話会談の中で、NATOに対する米国の「永続的コミットメント」を約束した。これは、ドナルド・トランプ米大統領が米国をNATOから離脱させるとの脅しや警告を発してきた後だけに、欧州の同盟諸国を安堵(あんど)させた。しかし、これまでよりも融和的な米新政権の誕生が近づく中、欧州では公の場で新たな論争が生じている。それは、どの程度まで、そしてどれだけ速いペースで、一段と独立性の高い安全保障の取り組みを目指すべきかについてだ。トランプ大統領の登場は、軍事の強化を目指す欧州の対応を加速させた。それには、対中国など欧州以外での軍事的必要性の高まりに気を取られている米国の対応を予測するのが以前より難しくなったことを受けた、リスク回避の方策という面もあった。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、欧州には「戦略面の自立」を追求する必要があると語った。ドイツなど他の同盟諸国は、欧州が自力でもっと多くのことをなすべきだが、米国を遠ざけてはならないと主張した。