有名コンサルタント会社に相談すれば、その会社の経営が全てうまくいくとは限らない。残念ながら、コンサルには限界がある。せっかくコンサルが入っても倒産してしまう会社もあるのだ。(リポタ株式会社代表取締役、経営コンサルタント 中野豊明)
経営危機に瀕した企業から
経費精算システムの開発依頼が来ることも
コンサル会社内でコンサル社員らが交わす会話の中で、時折、顧客企業に対して「命に関わるほどの大病を患っているのに、指先のけがに大騒ぎしている」というような発言を聞くことがある。
こうした会話は、構造的な課題で経営破綻の危機に瀕(ひん)している企業のCFO(最高財務責任者)から、なぜか唐突に小さな経費精算システムの開発依頼が来たようなときなどに生じる。
「このような状況の中で、精算システムに時間や予算を使っている場合ではないのでは」と素朴に感じ、揶揄(やゆ)するニュアンスである。
一方で、基幹業務の改革を進めるようなプロジェクトを進めていても、崩壊していく顧客企業の「根幹的なポイント」には立ち入ることができず、臍(ほぞ)をかむことがある。
やはり、コンサルには限界があるのだ。私が直接、経験した新潟鉄工所(※鉄は正式な社名では旧字体。以下同)を事例に説明していきたい。