周庭さん判決に見る中国共産党の限界、力まず気楽に民主化したらどうかPhoto:NurPhoto/gettyimages

香港で違法デモを扇動した罪などで周庭さんらに厳しい判決が下され、世界各国から中国共産党への批判が続いている。もはや中国をいくら批判しても反論が続くだけなので、今回は中国の平和な未来のため、「選挙」を提案したい。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

2020年1月に行った学生とのディベートは一見の価値あり

 香港の裁判所は、2019年6月の「逃亡犯条例」改正案に反対するために警察本部を包囲した違法デモを扇動した罪などに問われていた黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さんに禁錮13カ月半、周庭(アグネス・チョウ)さんに禁錮10カ月の判決を下した。

法廷で傍聴していた人によれば、アグネスさんは実刑判決が言い渡された時、「泣き崩れる感じだった」という。アグネスさんは上訴し、保釈を申請したが却下され収監された。

 収監されてしまうと、ただ無事を祈るしかない。筆者にできることがあるとすれば、アグネスさんの考えを残し、できるだけ多くの人に知ってもらうことだ。以前、この連載で紹介したアグネスさんと上久保ゼミの学生のオンラインディベートの動画も参照してほしい(周庭さんとのオンラインセッション 立命館大学政策科学部上久保ゼミ)。

 この時のオンライン講演は約30分間、学生とのオンラインディベートは約90分間に及ぶ。アグネスさんが日本語で、これほど自らの考えを語り尽くしたことは他にないだろう。

学生は、アグネスさんの考えを全面的に肯定したわけではない。特に、彼女が民主化実現のために「暴力という手段」を肯定する部分については、学生が厳しい質問をして、アグネスさんが激しく反論するという場面がある。

それだけに、日本のメディアがアグネスさんの発言の一部を切り取って報道したものとは違う。この動画には、彼女が日本に対して伝えたいことのすべてがある。彼女が収監された今こそ、一人でも多くの方にご覧いただきたい。