米国政治の「すきま」を突いて
世界経済への影響力を高めたい中国
2020年12月1日、中国が戦略物資(戦争を遂行する上で不可欠な物資)などの輸出管理を強化する「輸出管理法」を施行した。
中国は、米国のトランプ政権からバイデン次期政権への移行によって生じた米国政治の間隙を突いて、世界経済に対する影響力を高めたい。特に、世界経済にとって重要性が増すアジア新興国地域を何とかして自国のサイドにつなぎとめようとする中国の考えは、日増しに強まっている。それは、中国がIT先端分野を中心に覇権を強化するために不可欠だ。
コロナショックを境に、中国の輸出シェアは高まった。輸出管理法の施行は、世界経済の円滑な運営を阻害する恐れがある。当然、わが国や、アジア新興国の経済への影響も軽視できない。特に、安全保障を米国に依存する一方で、経済面では輸出を中心に対中関係を重視してきた韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済運営は、これまで以上に難航する恐れがある。