2週間で200万件もの応募があった「傑作キャンペーン」が売上に結びつかなかった理由

「SNSでバズれば売れる」
ツイッターやインスタグラム、TikTokなど、SNSから次々と話題が生まれる時代。だから、とにかくSNSで話題になれば売れる、と考えるのは自然なことのようにも見えます。
しかし、日本を代表するマーケターである足立光氏(ファミリーマートCMO)と、西口一希氏(Strategy Partners代表取締役、M-Force共同創業者)によると、話題化が成功するには、ある条件があるといいます。2人が上梓した『アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40』から、「SNS施策の落とし穴と、本当のポイント」をご紹介しましょう。

「SNSでバズれば売れる」と考えるマーケターは、何を勘違いしているのか?

 SNSなどで話題になったとき、売上につながるケースと、そうでないケースに分かれます。大多数が後者になる理由は、話題化されているポイントが、製品やサービスの便益、買いたい理由に結びついていないからです。

 たとえば、食品についておいしいとバズった場合、ほかの人も食べみたい、買ってみようと思い、売上に結びつくかもしれないのですが、それとはまったく違うところで盛り上げることが多いのです。

 マクドナルドで名前募集バーガーというキャンペーンを行い、「このバーガーに名前をつけてください」と呼びかけたところ、2週間で200万件もの応募がありました。

2週間で200万件もの応募があった「傑作キャンペーン」が売上に結びつかなかった理由「名前募集バーガー」には、最終的に500万件以上の応募があった(日本マクドナルド株式会社プレスリリースより)

 ですが、すごい反響だったにもかかわらず、売れ行きは芳しくありませんでした。なぜかというと、みんなにとって「面白い名前をつける」ことは一生懸命に考えたけれども、それがバーガーのおいしさに結びついていなかったし、その製品を買わなくてもアイデアさえあればネットから応募できる仕組みにしていたことも、購買に結びつかなかった一因でした。

 そこで学習したので、次回から話題性を喚起する際には、その話題のポイントが製品の訴求点に結びついていること、またできるだけ話題だけで終わるのではなく購買に結びつくような仕掛けにしました。

 また、世間でポケモンが話題になっていたからといって、「ポケモンGO」も連動して話題になり、ユーザーが増えるわけではありません。というのは、ポケモンの話をすることは必ずしも「ポケモンGO」というゲームと直結していないからです。

 話題化を仕掛けたいなら、結びつけたいものを綿密に計算したうえで、その話題が製品やサービスの特徴につながり、行動を促してこそ、効果が出るのです。

 今の時代は、ほとんどのものは揃っているので、何かを買ってほしいときには、話題にならないとなかなか売れないのは事実です。けれども話題にするのは、その製品やサービスに関係がある要素でなければならないし、そこからどう売上につなげるかをよく考えてみることが大切です。