「扶養の壁」超え3事例で学ぶ、絶対知っておきたいコロナ特例&落とし穴Photo:PIXTA

コロナ禍による家計収入ダウンの穴埋めなど、2020年ならではの理由で「扶養の壁」を超える水準のパート収入を得る人が増えていると思われる。「社会保険の扶養の壁」は超えた途端、一気に手取り収入が減少するため注意が必要だ。今回はパートタイマー、ダブルワーカー、ギグワーカーが絶対に知っておきたい「社会保険の壁」についてケース別に解説しよう。(生活設計塾クルー ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)

パート掛け持ち、Uber Eatsで配達…
主婦の働き方が多様になった!

 毎年12月になると、配偶者の被扶養者として働いているパートタイマーは「扶養の壁」が気になりだす。年収の「壁」を超えると、税金や社会保険料の負担が発生するため、「働くなら“壁の内側”で」と考えるパートタイマーは多い。このため、12月になると壁超えをしないように勤務先に出勤時間の調整を申し出る人も少なくないようだ。

 今年は新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり、勤務時間の短縮を迫られたりする人が多数いる一方で、スーパーや宅配会社など業種によっては繁忙となり、勤務時間が増えて例年より収入がアップしている人もいる。

 また、コロナ禍でパート先での勤務シフトが減らされたため、複数の職場での仕事を掛け持ちする主婦のダブルワーカーも増えた。

 さらに今年は、食事の配達を手掛けるUber Eatsやウェブ制作など単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」も出現。配偶者が収入ダウンし、家計を助けるためにパートの合間にギグワークを頑張る主婦もいるという。

 先日、某テレビ局のディレクターから「ギグワークの場合は社会保険の壁はどうなるのでしょうか」と質問を受けた。なるほど今年ならではの問い合わせだ。今後はパートとギグワークのダブルワーカーも増えていくだろう。

 ひとくちに「扶養の範囲内で働く」といっても、「税金の扶養」「社会保険の扶養」など複数の「壁」が存在する。税金については、壁を超えてもいきなり多額の税金が発生するわけではないので、あまり気にしなくてもいい。しかし、社会保険の壁は超えた途端、一気に手取り収入が減少するため注意が必要だ。

 今回はパートタイマー、ダブルワーカー、ギグワーカーが絶対に知っておきたい「社会保険の壁」についてケース別に解説しよう。