米でヒットした
「ありのままのあなた」を全肯定する映画

自分を肯定する力は、誰しもに大切な生き抜く力でもあります。

「映画『ミスター・ロジャーズ』は、アメリカ子ども向けテレビ番組の人気司会者ミスター・ロジャーズが主人公の大ヒット映画。そして、この映画のセリフは、カウンセリングの祖といわれるカール・ロジャーズが伝えたことそのものです。

主人公は、語りかけます。

I like you just the way you are.(そのままのあなたが好きだ)

自己受容、他者受容の原点は、『そのままを認め愛すること』。感じてもいないのにポジティブになろうと自分にウソをつくのは自己否定、『このままの自分でいい』と思うことが真の自己肯定なのです」

重松先生は教育現場での事例も話します。

「アメリカでは、教師が『ここはセーフ・スペース(安全な領域)だから、何でも話してください』と言っても、実際には学生たちは安全と感じず、言葉だけに終始していることがよくあります。

私は学生たちに『セーフ・スペースはみんなでつくるもの。あなたはあなたらしくすればいい。何も言わなくていい、何も話さなくていいんだよ』と伝えます。そうすると、学生たちはホッとして、逆に何かを言いたくなるのです。日本なら森田療法のようなものですね。

本来の自分らしさは、ありのままを受け入れられた時に初めて表れます。

不完全でヴァルネラビリティ(開かれた弱さ)を持つ、人間らしく魅力的なその人自身です」

重松先生が話すように、ありのままの自分を受け入れ、人に受け入れてもらい自分らしさを取り戻すことで、人は変わる勇気を持てます。

自分をいたわる2つ目の要素「不完全であることが人間である証である」と認める意識は、自己肯定感とも深く関係するのです。