思いやりの輪を広げることが、
自己肯定感につながる

ここまで、ありのままの自分を認める大切さを話しましたが、実は「相手」を認めることも自己肯定感につながります。

自分をいたわる第1要素は「自分にやさしくする」ですが、ハートフルネスの観点では、「自分にやさしくする=人にやさしくする」です。

「アメリカはこれからマイノリティ、少数派が中心の社会になるでしょう。白人の一部はそれを恐れています。

だから、『Black Lives Matter』と言わず、偏見を持ち、差別することで自分たちの尊厳、ポジションを保とうと必死なのです」

重松先生はこう話します。

しかし、他者との比較、上下から見出す自己肯定感は、差別、争いを生むだけでなく、周りに左右される不安定なもの。本当の自信にはなりえません。

「南アフリカ初の黒人大統領、故ネルソン・マンデラ氏は『Circles of Compassion(共感の輪)』という考えを持っていました。

人は人に共感しますが、その共感の輪の内側にいるのが、自分と似たような人、家族、同じ人種、宗教、コミュニティの人だけだとしたら? それ以外の人には共感しない、大切にしない。自分が他者を大切にしないそんな社会で、あなたは自分が大切にされると心から安心できますか?

共感の輪を広げ、多くの人を輪に入れる意識を持つことは、結果的にあなたのためになるのです」

マンデラ氏の共感の輪を広げるという考えは、相手を思いやることで自分も大切にする「ハートフルネス」そのものです。

比較ではなく、自分が自分らしくあること、相手が相手らしくあることを肯定し、お互いの「ありのまま」を認めて愛することが、あなた自身に安心感をもたらします。