「長男は親不孝者です、1円も相続させません」ができない理由とは?
遺留分の金額は?
2つ目のポイントは遺留分の保障額です。遺留分は法定相続分の半分と覚えましょう。相続人が配偶者と子どもであれば、配偶者の法定相続分は2分の1なので、その半分の4分の1が遺留分。子どもの法定相続分は2分の1、それを子どもの人数で割るので、この図であれば1人あたり6分の1です。遺留分は法定相続分の半分なので12分の1になります。
例えば、遺産が1億円、相続人は配偶者と子ども3人だった場合、配偶者の遺留分は2500万円、子どもはそれぞれ833万円が遺留分になります。
加えて、「兄弟姉妹には遺留分が無い」ことも押さえておきましょう。亡くなった方と兄弟姉妹は別生計であることが一般的で、「遺産を相続できなくても生活に困ることはない」と考えられているためです。
そのことから、子どものいない夫婦においては、「全財産を妻(夫)に相続させる」という遺言書があれば、他の兄弟姉妹から「私たちも相続人なんだから、遺産を少しは相続させてくれ」と主張されても、法的な効力は一切ありません。
大切な基礎知識として「遺言書があれば、自分の気持ち通りに分け方を決めることができるが、遺留分だけは変えられない」と覚えておきましょう。
遺言書をきちんと作ったとしても、遺留分を侵害する内容になっていれば、争いの火種になってしまうのです。