米料理宅配大手ドアダッシュと民泊仲介サイトのエアビーアンドビー(Airbnb)が期待通りの活躍を見せることができないとしたら、それは投資家があまりに過剰な期待を抱いていたということだ。新規株式公開(IPO)への個人投資家の関心が今年、大きく膨らんだことに議論の余地はない。エアビーは上場初日、株価が公開価格から2倍余りに急騰。ドアダッシュも10日、公開価格を82%上回る水準で取引を終えた。ピッチブックによると、エアビーの時価総額はこれで、4月の資金調達ラウンドでつけた評価額の5倍余りになった。これは複数のホテルチェーン大手の合計時価総額を上回る水準だ。デイトレーダーはただ、楽しみのためだけにこれらの銘柄に飛びついているわけではない。低金利により、今年それなりのリターンを求める投資家は、公開市場を物色せざるを得ない状況になった。特別買収目的会社(SPAC)経由の上場が記録的な水準に急増していることも、これである程度説明がつく。だが、従来の手法による今回の大型上場は、電子商取引(eコマース)へのシフト加速に代表される今年のトレンドの中核を体現しているようだ。