「防疫」でも苦境の日本、遅きに失した対応

「経済」だけではなく、「防疫」でも、政府や地方自治体は苦境に立っている。新型コロナの特徴を考慮せず、ただ感染者数の増減だけに一喜一憂する「無策」の結果ではないだろうか(第259回)。

 大阪府では、「新型コロナ専用病院」となった十三市民病院が、医師や看護師の相次ぐ退職でコロナ患者を計画通り受け入れられず、他の市立病院などから医師や看護師の応援派遣を受けて急場をしのいでいる状況だ。

 大阪府の吉村洋文知事は、現在、軽症や中等症の患者を受け入れている病院のうち、病床数が多く、重症患者の治療に対応できる15の病院に対して重症者受け入れの要請を行った。また、府内にある5つの大学病院に対しても、今月20日までの間、一時的に重症用の病床20床を追加で用意するよう緊急に要請した。

 吉村知事の対応は、「結果勝負」という観点では、「遅きに失した」といえるだろう。病床数の多いコロナ指定病院や、大学病院への協力要請という重症者対策は、「第2波」が収まりつつあった夏の段階に手を付けておくべきだった(第259回・p2)。重症者が増えてから協力要請するのでは、「後手に回った」と批判されても仕方がない。

 ただし、吉村知事を擁護すべき点はある。以前から知事は、重症者の病床確保の観点から「救急病床のトリアージ(選別)」に言及し、一般の傷病患者とコロナ患者の受け入れ先の明確化に問題意識を持ってきた。

 また、重症者専用の30床の病床を備えた医療施設「大阪コロナ重症センター」を設置し、今月15日に運用を開始することになっている。吉村知事は、必要な130人の看護師を確保する見通しがたったことを明らかにした。

 これらは、吉村知事が、重症者対策に問題意識を持ち、実際に行動していたことを示しており、評価できる。ただ、やはり、夏の時点で、大学病院に対する重症者の病床確保の依頼を交渉してまとめておき、「第3波」を待ち構えておくべきだったと思う。

大学病院の「新型コロナ患者受け入れ拒否」は重要な問題

 全国の大学病院の新型コロナ患者受け入れ拒否は、あまり批判されないが、重要な問題ではないかと考えている。