宮本アジア研究所・宮本雄二代表「私は互いの指導者が難しい時期ほど会うべきだと思っています」
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日中国交正常化から丸40年経った今、尖閣列島をめぐる対立で、両国の関係は最悪とも言ってよい状況にある。2006年~10年まで駐中国大使を務め、日本きっての知中派である宮本雄二・宮本アジア研究所代表は、日中は今、ともに相手をどう位置付けたらよいのか分からなくなっているところに混乱の背景があり、そうした状況下、個別の領土がらみ問題で双方の国益全体まで損なうのは正しい外交のあり方ではないと説く。

鄧小平の現代化の
イメージは日本だった

――この9月29日で、日中国交正常化してから40年が経ちましたが、この40年間を振り返って日中関係を特徴づける動きは何だったのか、なぜ現在のような状況に至ってしまったのか、そこをまず整理していただけますか。

 この40年に限定せず、歴史的に物事を眺めると、1931年の満州事変から日中戦争が始まり、第2次世界大戦に負けて日本の戦後が始まりました。1949年には中国大陸に中国共産党による新しい政権(中華人民共和国)ができましたが、日中は、没交渉でした。こうしてみると、1972年以前の40年間には、全く質の違う歴史があった。

 こうした歴史の大きな流れからすると、国交正常化後の40年間の日中関係は、比較的、良好な時代であったという認識の中で議論していった方がいいと感じています。