現段階では、長距離の移動を伴う都外への旅行など、遠くへの外出について、引き続き、できるだけ控えていただきたいと考えている(8月28日、会見の想定問答集にて)

 8月27日の記者会見でGo Toトラベルについて質問されると、「国による施策であり、国において判断をされるということでございます」と自身の考えについては言葉を濁した。

 だが翌28日の会見では、質問こそ出なかったものの、ダイヤモンド編集部が都に情報公開請求をして入手した想定問答集には、しっかりとこう書かれており、都の慎重姿勢はまだ維持されていた。

 とはいえ、小池知事には迷いもあったようだ。

 7月から実際にGo Toトラベルが始まると、これを好感する利用者と、久々の賑わいで潤う観光業者の声が伝えられるようになった。

 また8月5日に小池知事は、全国旅行業協会東京都支部関係者と都庁で面会。「旅行業界を助けていただきたい」と「支援要望書」を突き付けられていた。

「Go Toトラベル事業」については、感染防止対策に万全を期して実施すれば、都内の観光事業者にとっても弾みがつくと申し上げてきた(9月25日、会見の想定問答集にて)

 9月には、都内のGo Toトラベル適用が議論され、10月から適用されることが決まった。これについて、都内の観光事業にとってGo Toトラベルはメリットが大きいと、小池知事が前々から言い続けてきたかのような文言が、9月25日の記者会見の想定問答に記載されていた。

 確かに9月11日、赤羽一嘉国土交通大臣が都内の追加を発表した同日の記者会見で「経営が厳しい都内の観光関連事業者にとって事業の回復に弾みがつくのではないか」と述べてはいる。

 ただ、7月の段階では「冷房と暖房の両方をかけるようなこと」と痛烈に皮肉っていたことを思えば、観光に弾みがつくと「申し上げてきた」とまで言い切るのは、違和感を禁じ得ない。

 さらに都は、都民による都内の宿泊に5000円を上乗せして補助する独自施策を9月下旬に発表。「観光産業の早期回復と都民のニーズに応えたい」と小池知事自らが旗を振っていた。

 この時期にはGo Toトラベルを批判してきた姿勢は霧散。むしろ政府のGo Toトラベルに沿う形で補助金を出し、Go Toトラベル推進派に“宗旨変え”していた。